歯科医師・山田忠生
かつて、著者の同僚で5か月間ぎっしりとつまったアポイントメントのため、まったく動きのとれない状態に陥っていた人がいた。学校の成績は人が羨むほど申し分のない歯科医師であるにも関わらず、診療はマヒ状態になってきていた。やがて新しい患者の受け入れを中止するに至り、さらには専門領域への発展段階で行き詰まり、診療が思うようにいかなくなってきた。そこで、彼はアポイントメント・ブックのつけ方に関するさまざまな情報を得て、転換するべき時期が来たと判断して、著者に援助を求めにやってきたのである。
この歯科医師の業務のマヒを取り除くために、著者が第一に手掛けたことは彼のアポイントメント・ブックだけに少なくとも全勤務時間の3分の2を費やしている秘書に加えて、2人の補助者を使うとすれば患者3人を1時間でこなせるだろうと教えた。彼には週に20回ほどの治療があり、そのために10時間が必要だったのだが、慎重に計画するとこの時間を6時間45分まで短縮することができるのである。そうすることによって1週間にほぼ半日を、自分の自由な時間とすることができるのである。彼はこれほどまでに急いで患者を診ることが良いものかどうか、非常に気が引けてならなかった。しかし現在のシステムと、1時間に3人を診ていく計画とを比べ、じっくりと考えた結果、以前にはムダに使ってきた時間を役立たせようと思うようになった。