宝塚仁川/山田歯科エクセレンスクリニック 歯科医師・山田忠生
1977年の開業時に、咬合器を2台購入した。ハノ―咬合器145-2である。診断用としての用途が主だった。技工用にはその後、簡易型のホビー咬合器を利用している。堅牢なつくりのハノ―咬合器だが、1995年阪神大震災のときに、模型を整理している棚の最上段に収納している咬合器は吹き飛んで、床に転がった。結果、1台の咬合器は金属製の軸が曲がって使えなくなった。
今では、ハノ―咬合器1台と、簡易型数台を活用している、しかし、さすがにそのハノ―咬合器にも、少し”ガタ”がきた。いろいろと思案をしたが、やはりここで診断用に新しい咬合器を購入する決心をした。少し以前に診断について話す機会があり、そのときに日本で手に入る半調節性咬合器について調査したことがあった。もちろん、ハノ―咬合器145-2は製造していないことは知っていたが、その代わりとなる私にとって使い勝手のよい咬合器がないことを知った。というよりも、ショックだったのは咬合器そのものが売れない器具であるという事実だった。
情報提供で世話になった関係者から、今では歯科診療所の開業時の購入必要リストから咬合器はとっくに消えているということを知らされた。咬合器も持たずに修復歯科を展開しているということは、一体どのようなことなのだろうと、今でも信じられないことだった。
さて、改めてテレダイン・ハノ―社のカタログを取り寄せて検討した。ハノ―・ワイドビュー咬合器183-2を購入することにした。そして、また驚いた。日本には在庫がないのでアメリカから取り寄せるので、2か月ばかり待ってほしいということだ。
ようやく、届いた。堅牢さということでは少し見劣りするが、ワイドビューなことは確かで、見やすく使いやすそうだ。これからしばらく、歯科診療現場から退場するまでの間、私の片腕として仲よく付き合っていけそうだ。