歯科医師・山田忠生
さて、治療椅子に横になられた男性を拝見することになった。一般論だが、男性の方が圧倒的に、女性に比較して”怖がり”である。特に、自分の身体に何かをされるということには恐怖心が強い。「先生、それは痛くないですか。」とか、「先生、とにかく痛くしないでください。」とかを話されるのは男性韓jあに多い。同じ男性として私もよく理解できる。とにかく怖いのである。年齢も、社会的地位も、それまでの歯科経験も関係なく怖いのである。
その方は、ベッドスタイルのチェアに横になっており、私はドクター用のチェアに座って、患者の頭部の後方に位置し、拝見するのが今の診療スタイルだ。
「それでは拝見しますから、お口を開けてください。」と話してから、その方の口の中を拝見することになる。その私の姿勢からは最初は下の前歯が最も自然に目に入る。その前歯がグラグラしているというのが、患者の訴えだった。
あけてもらった口の、舌の前歯の一本が、スーッと口の中に落ちていった。ポトンという感じだ。後にも先にも、歯の自然脱落の瞬間に遭遇した唯一のケースだった。
さて、治療椅子に横になられた男性を拝見することになった。一般論だが、男性の方が圧倒的に、女性に比較して”怖がり”である。特に、自分の身体に何かをされるということには恐怖心が強い。「先生、それは痛くないですか。」とか、「先生、とにかく痛くしないでください。」とかを話されるのは男性韓jあに多い。同じ男性として私もよく理解できる。とにかく怖いのである。年齢も、社会的地位も、それまでの歯科経験も関係なく怖いのである。
その方は、ベッドスタイルのチェアに横になっており、私はドクター用のチェアに座って、患者の頭部の後方に位置し、拝見するのが今の診療スタイルだ。
「それでは拝見しますから、お口を開けてください。」と話してから、その方の口の中を拝見することになる。その私の姿勢からは最初は下の前歯が最も自然に目に入る。その前歯がグラグラしているというのが、患者の訴えだった。
あけてもらった口の、舌の前歯の一本が、スーッと口の中に落ちていった。ポトンという感じだ。後にも先にも、歯の自然脱落の瞬間に遭遇した唯一のケースだった。