宝塚仁川/山田歯科エクセレンスクリニック 歯科医師・山田忠生
デンタルI.Q.が極端に低く、経済的にも低い人が、あなたの許を訪れたと仮定しましょう。その患者は、おそらく支払い能力が現在も、そして将来も低い状態で、広範囲にわたる病状をもち、その解決に来院したのです。あなたの哲学で、でき得る限りのことをしてあげなさい。しかし、このような人は、基本的には公的な病院で総義歯などの治療をしてもらう以外に方法はなく、個人開業医の許では治療は不可能でしょう。スウェーデンではこの社会福祉的診療に力を入れ、かなりうなくいていますが、そえでも低所得者の診療にはまだ完全とは言えないものがあります。
広範囲にわたる重篤な症状をもった患者でも、自分の歯がどれ程保たれるかを知りたいものであれば、また知る権利もあります。そして、私たちはそれを患者に伝えなくてはいけません。しかし、初めて患者に出会った第1回の診療のときに伝えるべきではありません。第2階の来院までに十分に検討し、確信をもち、何とか修復することができると、あなたが自信をもってから患者に話すことを薦めます。あなたが患者の歯を長く保つことができると確信し、それを患者に約束しようとするのなら、どのように患者に伝えることが適切でしょうか。これは病気の経過の予測であります。ここでは少し短期に見積もるのが得策でしょう。そして患者にこのように話します。
「あなたの歯がこれから5年から10年間、維持できないようでしたらお薦めしません。あなたの協力が得られ、家庭でも十分に管理され、1年に1回は必ず来院されるなら、治療してみましょう。」
一般的には、患者は歯科医師が5~10年間維持できると告げた歯が、2-~25年も保たれると本当に感謝し、理解を示すようになりますが、反対の場合には拒絶反応を起こすものであります。