宝塚仁川/山田歯科エクセレンスクリニック 歯科医師・山田忠生
以上の例のように、知的、社会的水準に問題が無くても、肉体的、情緒的な問題がある場合は、治療を急ぐべきではありません。また、別に経済的に問題をもっている人も、その問題が解決しない間は治療には良い機会ではないので、ホールディング・プログラムを用いると良いでしょう。どちらにしても、長期にわたる年月がかかります。つまり誰もが来院したときに、すべての医療を受けないといけないということではないのです。
しかし、総義歯をしなくてはいけない場合や、患者の歯科医学的年齢が中年を越えているような場合は、絶対的に必要でない限り、ホールディング・プログラムは用いられません。つまり総義歯にしなくてはならない程度まで歯周組織が破壊されていて、ひどい状態にある場合には、私たちは暫定的な治療ができるまで歯を一時的にスプリントします。
これは診療方法に関係のあることですが、ときには情緒的、経済的な問題も関係します。これにはどう対処するべきでしょうか。私たちは患者が来院したときの状態や、話し方、服装、呼吸の仕方などから、かなりの判断をすることができます。その患者の所有している車、どの地域に住んでいるか、どの程度旅行をしているか、職業は何かなどが知的、社会的、経済的な分類の大きな要素を占めます。これらの情報を患者のために役立てると良いでしょう。
結局、歯科医師の仕事は一般大衆のためのものですから、自らの利益の前に大衆を優先させるべきであります。そしてこの考え方こそが、私たちの職業意識というものなのです。