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博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『カナダ・エスキモー』

2006年11月02日 | 世界史書籍
本多勝一『カナダ・エスキモー』(朝日文庫、1981年)

『ニューギニア高地人』が面白かったので、『極限の民族』シリーズを3つとも読んでみることにしました。

この作品では当時狩猟生活を送っていたエスキモー(イヌイット)のでの体験談をまとめていますが、取材が行われた1963年の時点で既にアルコール中毒や自殺者の増加といったエスキモー社会の問題の徴候が現れているのに、暗澹とした気持ちになりました(-_-;) アルコール中毒に関しては、食料でもタバコでも酒でも、手元にある物は一挙に消費してしまうという彼らの習性によるものであるということですが……

文庫版あとがきによると、それどころか本書で描かれているような彼らの伝統的な狩猟生活自体が取材後に消滅してしまった模様……

あと、彼らが犬ぞりの犬を手荒く扱う描写が結構出て来るので、愛犬家にとっては読んでいて辛くなる作品かもしれません(^^;) もっともこれに関しては著者はエスキモーの犬はあくまで労働犬であり、愛玩犬とは違うのだと彼らのために弁明しています。

白川静先生ご逝去

2006年11月01日 | ニュース
中国古文字学の第一人者である白川静氏が一昨日、96歳で亡くなられたとのことです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061101-00000107-mai-peo

以前白川氏の講演会「文字講話」を聞きに行ったことがありますが、とても90歳前後とは思えない矍鑠とした話しぶりが印象に残っています。また今年の夏に新著『殷文札記』を出版されており、あのお年で近年発見された遺跡や青銅器銘文も参照しながら新しく学術書を書き下ろされたことに驚いていました。

しかし林巳奈夫氏といい、金谷治氏といい、今年に入ってから古代中国に関わる大家の訃報が続きますね……