博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『大江大河』その1

2019年01月22日 | 中国近現代ドラマ
中国で年末年始に放映・配信されて高評価を得た『大江大河』を見始めました。第1部全47話中の第1~6話まで鑑賞。

時は1978年、文革が終わり、改革開放政策が始まった頃合いです。地方の農村で暮らす宋運萍・宋運輝姉弟は、文革が終了して再開された高考(大学入学のための統一試験)で合格ラインを突破し、大学進学への希望に燃えておりました。しかし2人の家は父親が昔国民党と関わりを持ってしまったことによって「反革命家庭」とされており、「出身が良くないのに何が大学だ」とばかりに、手続き書類の提出を地域の革命委員会の幹部によって差し止められてしまいます。


で、『琅琊榜』でお馴染み王凱演じる弟宋運輝の方が革命委員会の建物の前で、広く大学進学希望者を受け入れるという旨の中央の文書と『人民日報』の社論をひたすら暗誦するというマジキチ行動に出ます。


この談判に折れた革命委員会の李主任が県の方に話を上げ、協議の結果、姉弟のうちどちらかが片方のみが進学を許されることになり、運萍は「自分は高中(高校)に進学できたが、弟は認められなかったから」と、涙をのんで運輝を進学させることに…… 宋運萍を演じるのは、これまた『将夜』の李漁でお馴染み童瑶です。

安運大学化学系に進学した運輝は寮の同室の学生を「叔叔」と呼んでしまい、ルームメイトに大叔・二叔・三叔のあだ名が付けられます。どう見ても20歳前後ではなさそうなおっさんが新入生でそこそこ存在するというのも、この時代ならではなのかなと。こういう時代背景が何となく見えてくるのもこのドラマの面白いところです。運輝は勉学に励むかたわら、『人民日報』の記事の朗読会にも精を出し、自分たちにかけられた「反革命家庭」のレッテルが剥がされる日も近いと希望に燃えるようになります。

地元に残った運萍ですが、故郷の農村で仕事があるわけでもなく、ふと街で見かけたアンゴラうさぎ(長毛種のうさぎで毛織物の材料になるので、その毛が高値で取り引きされているとのこと)の飼育を思い立ち街で仕入れたところ、復員軍人の雷東宝と出会います。


ここで宋運輝に続く2人目の主人公が登場(主人公はもう1人いるらしい)。運萍たちが暮らす村の隣の小雷家大隊が彼の故郷で、大隊の書記を務める叔父によって副書記に任命されます。しかし小雷家は近隣でも貧村と知られるところで、東宝も含めて村の若者には嫁の来手もありません。そこで当時安徽省小崗村が率先して導入し評判となっていた「生産責任制」を小雷家でも導入することにし、村の若者たちを使って農地の測量を開始します。東宝と幼馴染みの村の若者たちとの関係を見てると、何となくジャイアンがそのまま大人になったような感じがしてきますが……

しかし村民に農地をどう分配するかで頭を痛め、春節で帰省していた運輝の知恵を借りようとまとわりついたり、村の若者たちが運萍と東宝とが結婚すると勘違いして囃し立てたりして、運輝からすっかりウザがられてます (^_^;) 姉に対して下心があるのではないかと雷東宝に不信感を抱く運輝ですが、彼の力添えによって宋一家は名誉回復を果たします。そして休みが明けて大学に戻った運輝は、大学の附属小学校の輔導員のボランティアを始めますが、反抗的な女生徒につっかかられ……というところで次回へ。

この手のドラマは予備知識がないと厳しいかな?と思いきや、『人民的名義』と同じく割とすんなり見られます。むしろドラマが当時の時代背景の良い教材になってる感じですね。話もテンポよく進んでおり、中国で評判になったのも頷けます。



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