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絵本楊家将 第3章 楊継業帰宋(後編)

2012年01月19日 | 絵本楊家将
第3章 楊継業帰宋(後編)

太宗が軍営に戻ると、八賢王趙徳芳は皇帝の心中を察して言いました。「楊家の父子を投降させることで悩む必要はございません。私が思いますに、間者を河東に忍び込ませ、反間の計を用いれば、楊家の父子を我が大宋に仕えさせることができましょう。」

太宗は喜んでこれを聞き入れました。八賢王はまた太宗に楊光美を推薦し、河東に潜入させて反間の計を実施させることにしました。楊光美は劉鈞の大臣の趙遂が欲深いのを知ると、彼に多くの金銀財宝、絹や錦の反物を贈りました。趙遂ははなから劉鈞が楊家の父子を寵愛するのに嫉妬していたうえに、更に金銭の誘惑もあったので、劉鈞の面前に赴いて讒言をまくしたてました。「楊継業は以前に殿の指示を仰がずに、勝手に宋朝と講和をしましたが、実はやつはその時既に宋朝と私通していたのです。只今宋の軍兵が城下に臨んでおりますが、やつの反逆心は誰もが知るところです。殿はくれぐれも用心をなさるべきです。」

劉鈞は趙遂の讒言を真に受け、しきりに楊継業に出陣するよう促して、楊継業が北漢に対して忠実であるかどうか試そうとしました。しかし楊継業が城を出て戦いを挑もうとし、喉が破裂しそうなぐらいに大声で叫んでも、宋軍からは誰も挑戦に応じようとはしません。楊継業はどうしようもなく、兵を城に引き上げさせるほかありません。はからずも宮殿の前まで来ると、数人の衛兵に捕らえられてしまいました。楊継業はその原因がわからず、大声で驚き叫びました。「私めに罪はございませんのに、どうして捕らえられるのでしょうか?」劉鈞は怒ってわめき立てました。「お前は密かに反逆を企んでおったであろう、私が知らないとでも思ったのか?それなのにまだ罪が無いなどと言いおって、つまみ出して斬ってしまえ!」しかし丞相以下の老臣がみな跪いて楊継業の赦免を求めたので、劉鈞はようやく怒りを収めました。

太宗は劉鈞が楊継業を殺そうとしたと聞くと、楊光美を楊継業のもとに遣わします。彼に対して言うには、「大宋の天下統一は、既に大勢の趨くところとなっています。漢主の劉鈞は凡庸で無能、かつ讒言を真に受け、もう少しで英雄の命を失わせてしまうところでした。貴殿は天朝に帰順し、暗君を捨てて明君に身を投じられた方がよろしいかと。」

それから数日の間、劉鈞は使者を派遣して督戦させるものの、楊家軍には糧秣を与えませんでした。楊家軍は上下で議論が沸き起こり、兵士もやる気を無くしてしまい、少しの闘志も無くなってしまいました。太宗はまた楊光美を代州に行かせ、楊家の父子は主君の命に反抗して逃亡を図っており、漢主の劉鈞は大遼と連合して楊家軍を討伐しようとしていると、流言を広めさせます。この情報が伝わると、楊家軍は蜂の巣をつついたような騒ぎとなりました。楊継業は不安で居ても立っていられなくなり、七郎・八郎と八姐・九妹はともに楊令公に宋朝に帰順して功績を建てるよう勧めました。

楊令公は天を仰いで長嘆し、王貴と相談して決心すると、部下を宋軍へと遣わし、帰順に応じると伝えさせました。

これにより、楊家軍は大宋に帰順したのでした。楊家軍がいなくなってしまうと、北漢王朝はたちまち滅亡してしまいました。

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