澁谷由里『「漢奸」と英雄の満洲』(講談社選書メチエ、2008年1月)
『馬賊で見る「満洲」』の著者の新刊で、今回は張作霖と張学良、張景恵と張紹紀ら「満洲国」幹部の父子五組の生涯を取り上げるという構成になっています。これにタイトルの「漢奸」がどう関わってくるかと言いますと、張作霖と張学良以外はおおむね現代中国において「漢奸」と見なされているという次第。
個人的に面白いと感じた内容が多かったのはやはり冒頭の張作霖・張学良父子の章で、実は爆殺事件の現場で張作霖は即死しておらず、事件当日に運び込まれた第五夫人寿玉梅の居館で死亡していたとか、この寿夫人がその後の張学良への円滑な権力委譲に大きな役割を果たしたという話などが興味深いところ。
あと、袁金鎧は浅田次郎の『中原の虹』では頼りなさげな文人として描写されていましたが、実際は山師的な人物だったんですね……
張学良と言えば、最近中国で『西安事変』というドラマが放映されたとのこと。内容はまあ、いつもの抗日物なんでしょうが、主役の張学良を胡軍が演じているというのが気になります。それと本書でちょくちょく名前の出て来る趙一荻もメインで登場するようですね。
『馬賊で見る「満洲」』の著者の新刊で、今回は張作霖と張学良、張景恵と張紹紀ら「満洲国」幹部の父子五組の生涯を取り上げるという構成になっています。これにタイトルの「漢奸」がどう関わってくるかと言いますと、張作霖と張学良以外はおおむね現代中国において「漢奸」と見なされているという次第。
個人的に面白いと感じた内容が多かったのはやはり冒頭の張作霖・張学良父子の章で、実は爆殺事件の現場で張作霖は即死しておらず、事件当日に運び込まれた第五夫人寿玉梅の居館で死亡していたとか、この寿夫人がその後の張学良への円滑な権力委譲に大きな役割を果たしたという話などが興味深いところ。
あと、袁金鎧は浅田次郎の『中原の虹』では頼りなさげな文人として描写されていましたが、実際は山師的な人物だったんですね……
張学良と言えば、最近中国で『西安事変』というドラマが放映されたとのこと。内容はまあ、いつもの抗日物なんでしょうが、主役の張学良を胡軍が演じているというのが気になります。それと本書でちょくちょく名前の出て来る趙一荻もメインで登場するようですね。