ル・グウィン著、清水真砂子訳『ゲド戦記5 アースシーの風』
故郷で隠居生活を送るゲドのもとにハンノキという男がやって来た。彼は愛妻が死んでから、毎晩生者と死者の世界の境目に魂が送られて大勢の死者に取り囲まれる悪夢を見るようになり、それを何とか直してもらいたいのだと言う。それと入れ替わりにテナーとテハヌーはレンバンネン王に呼ばれてハブナーへと向かっていた。西方で龍が暴れ回っているという報告が相次ぎ、その対処を彼女たちに相談したいのだという……
というわけでシリーズ完結編です。第4巻・別巻とはまたガラリと雰囲気が変わっており、ジェンダー論的な主張はだいぶ抑えめになってます(^^;) 今巻ではゲドは完全に脇役となり、テナーやテルー、レバンネン、あるいは初登場となるハンノキがメインキャラクターとして活躍します。また、第3巻のクモのような明確な悪役は存在しません。
このアースシー世界では、ゲド達魔法使いは物や生き物の真の名を知ることによってそれらを自由に操る力を得るということになっているのですが、この巻では人間がこのようなやり方で魔法を使うのが本当に良いことなのか、また民族によって魔法に対する接し方や宗教信仰が異なれば、死んだ後の魂の行き先も異なるのではないかといった、アースシー世界の根幹に関わる問題が提示されます。何というか、第1巻から何十年もかけてエラいところまで話が来たなあという感じです……
故郷で隠居生活を送るゲドのもとにハンノキという男がやって来た。彼は愛妻が死んでから、毎晩生者と死者の世界の境目に魂が送られて大勢の死者に取り囲まれる悪夢を見るようになり、それを何とか直してもらいたいのだと言う。それと入れ替わりにテナーとテハヌーはレンバンネン王に呼ばれてハブナーへと向かっていた。西方で龍が暴れ回っているという報告が相次ぎ、その対処を彼女たちに相談したいのだという……
というわけでシリーズ完結編です。第4巻・別巻とはまたガラリと雰囲気が変わっており、ジェンダー論的な主張はだいぶ抑えめになってます(^^;) 今巻ではゲドは完全に脇役となり、テナーやテルー、レバンネン、あるいは初登場となるハンノキがメインキャラクターとして活躍します。また、第3巻のクモのような明確な悪役は存在しません。
このアースシー世界では、ゲド達魔法使いは物や生き物の真の名を知ることによってそれらを自由に操る力を得るということになっているのですが、この巻では人間がこのようなやり方で魔法を使うのが本当に良いことなのか、また民族によって魔法に対する接し方や宗教信仰が異なれば、死んだ後の魂の行き先も異なるのではないかといった、アースシー世界の根幹に関わる問題が提示されます。何というか、第1巻から何十年もかけてエラいところまで話が来たなあという感じです……