http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=60441
<以上略>
「なぜ、外国には寝たきり老人はいないのか?」
答えはスウェーデンで見つかりました。今から5年前になりますが、認知症を専門にしている家内に引き連れられて、認知症専門医のアニカ・タクマン先生にストックホルム近郊の病院や老人介護施設を見学させていただきました。予想通り、寝たきり老人は1人もいませんでした。胃ろうの患者もいませんでした。
その理由は、高齢あるいは、がんなどで終末期を迎えたら、口から食べられなくなるのは当たり前で、胃ろうや点滴などの人工栄養で延命を図ることは非倫理的であると、国民みんなが認識しているからでした。逆に、そんなことをするのは老人虐待という考え方さえあるそうです。
ですから日本のように、高齢で口から食べられなくなったからといって胃ろうは作りませんし、点滴もしません。肺炎を起こしても抗生剤の注射もしません。内服投与のみです。したがって両手を拘束する必要もありません。つまり、多くの患者さんは、寝たきりになる前に亡くなっていました。寝たきり老人がいないのは当然でした。
<以下略>
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
かなり考えさせる記事だ。日本は長寿世界一とされているが、その「長寿」の内実が判明したようなものである。自分で動くこともできないような状態になっても、とにかく延命させることが本当に重要なのか、という問題が投げかけられている。これは深刻で難しい問題であり、そう単純にいえるものではない。
だが、日本医師会やら厚生労働省やらの回答はあまりにも明確だ。とにかく何でもいいから死亡させないこと、ということにつきる。それ以外の選択肢を考える気は、まったくなさそうだ。余計な責任を追及されたくないのだろうし、まあ気持ちは分からなくはない。しかしこれからの超高齢化社会において、今までと同じような「延命医療」を本当に続けられるのだろうか。医師や政府だけでなく、社会全体でよく考える必要がありそうだ。
ちなみに私なら、治る見込みがなく、自分で食事も排泄もできないよう状態になっても、生きていたいかと言われれば、絶対に嫌だ。