バブルが崩壊し、日本経済の成長が止まってから、20年が経つ。この間、失われた10年だとか20年だとか言われているが、この「失われた○○年」というフレーズは今後、意味がなくなると思う。この先いつまで待っても、「失われた」状態がなくなるとは思えないからだ。つまり、これから高度成長などはありえないだろう。経済が成長しなければ、雇用は悪化し、労働環境も悪化する。企業の元気がなくなれば、税収はまったく伸びず、財政赤字も解決の目途さえ立たない。日本が持つ富は、少しずつ減っていくことになる。社会全体が持つ資産が減っていけば、それにつれて様々な国内問題が発生していくことは明らかだ。
ではなぜ、低成長しかしなくなったのか。これも、日本が豊かさの臨界点に来たことに根本的な原因があると思う。日本だけでなく、それなりの豊かさを手に入れた先進国は、どこも経済成長率が低い(一時期のアメリカを除く)。というのも、人間の欲望には限界があるからだ。ある点まで豊かになって物資が行き届けば、経済成長の原資ともいえる「人間の欲望」は、肥大化にストップがかかると思う。竹中平蔵あたりが考えるように、次々とほしい商品が現れ、人々はそれを得るために無限にがんばり続ける、というわけにはいかないのである。電化製品などは性能も耐久性も十分に良くなって、国民すべてが手に入れたい物など、社会の進化に伴って少なくなっていくだろう。日本は20年前に豊かさを実現し、「欲望の限界点」にまで到達してしまった、ということではないだろうか。
それから、経済のグローバル化、という要素も大きい。企業など経済主体の活動が地球規模になれば、当然、日本も外国からの影響を強く受ける。「水は低きに流れる」という言葉があるように、付加価値のそれほど高くない仕事などは、自然に発展途上国へと流れていくことになる。特に日本は、中国が市場開放し、グローバル経済に参入したことの影響をもろに受けることになった。90年代以降の中国の工業化である。それに伴い、低いところへ水が流れるように、仕事が日本から中国へと移っていった。いつの間にか、世界中の工業製品の大部分を中国製が占めるようになり、それらの生産にかかるコストも著しく下がった。その結果、中国による大生産の影響をもろに受ける日本は、物価も下がり長期のデフレを経験することになった。日本海を隔てて隣同士の両国は、80年代以前の著しい物価の差を、経済のグローバル化によって少しずつ縮めていった、というわけである。これでは日本が大きな経済成長をすることなど、望むべくもない。
問題は、日本の企業が持つ国際的な競争力である。頼みの技術力でさえ、現在は韓国に、将来的には中国にも追いつかれそうな雰囲気である。先進国である日本が対応していくには、やはり少しでも付加価値が高い商品やサービスを生み出していくしかないと思う。
思うに日清日露戦争くらいから延々昇り調子で(上がり下がりはあっても)来た日本も百年たって賞味期限が来た感じがします
yosikuri> 中国市場に頼るしかないというのは分かるけど、頼りすぎても中国に首根っこを押さえられることになるからね。中国だけでなく、インドや東南アジアの発展にも期待し、市場を分散したいところだ。