先日14日の総選挙では、予想通り自民党の圧勝だ。今回も私の投じた票は、死票にならなかった。共産党の票が伸びたことは少し意外であったが、大勢には影響はない。議席の構成は選挙前と大して変わらないため、やはり無駄な選挙だったといえる。しかし、菅直人や海江田が小選挙区で落選したことだけは痛快であった。民主党はこれから崩れ去っていくのみだ。
今回の選挙は、アベノミクスの信任を問う、ということが建前であった。自民党が勝ったということは、そのままアベノミクスも信任された、と捉えてよいということだろうか? 話はそう単純ではないと思う。前にも書いたが、他に政権担当能力のある政党が存在しないから、自民党に票が集まっただけのことだ。アベノミクスについては、全面的に肯定する人など、今となってはかなり少ないのでは。消費税の影響も大きいが、結果として経済成長を果たすことはできなかった。円安になって株価が上がろうが、GDPが伸びなければ意味が無い。
それにしても、なぜ日本経済は20年以上も停滞を続けているのだろうか。いくら先進国だからといっても、アメリカや欧州諸国は曲がりなりにもこの20年間で経済成長している。日本だけは、なぜ例外なのか? 非常に気になっていたところ、日本経済の実態について、良い記事を見つけた。2年以上前のものであるが、現在でもそのまま通用するはずだ。実に説得力のある、核心を突いた記事だと思う。以下に、その一部を引用したので、ぜひ読んでいただきたい。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20120208/226973/?n_cid=nbpnbo_leaf_bn&rt=nocnt
技術係数改善策の本質は新陳代謝
このように、成熟化しつつある先進国経済と言えども、“技術係数”を高めて成長率を改善することは十分に可能なのである。
市場メカニズムを徹底させるアメリカのやり方も、広域経済圏を確立しルールを統合するヨーロッパのやり方も、その本質は“新陳代謝”である。アメリカの市場メカニズムの徹底による優勝劣敗は、生産性の高い企業と産業が、生産性が低いままの旧態依然とした企業と産業を退場させて、国民経済全体の効率を向上させる。
ヨーロッパのEU統合においても、EU加盟国の中の産業ごと、地域ごとに、最も生産性の高い企業にシェアを収斂させることで地域経済の効率を高めた。当然、そのプロセスにおいて、それまでの個別経済圏ならば生き延びることができた限界企業や限界産業は淘汰された。つまり、地域経済ごとに、生産性の高い企業と産業に収斂するという新陳代謝が起きたのである。
この点がBRICsの成長パターンとは本質的に大きく異なる。近代的産業がなかった発展途上国は資本と技術を導入すれば、新しい産業がゼロから立ち上がる。しかし既に高度経済成長フェーズを過ぎた先進国では、競争力を失った古い企業や産業を淘汰して新陳代謝を図らなければ、国民経済の技術係数は上がらないのだ。
日本浮揚のカギは新陳代謝
日本はどうか。
自動車、家電・エレクトロニクスという主力産業・企業の顔触れは80年代からほとんど変わってない。EU統合に類するような構造改革も起きていない。「経済特区」構想は10年以上も前から語られはするものの、ほとんど実現していない。TPPへの参加すら、反対の声が強いために「議論に参加する」という訳の分からない政治決着になってしまった。既得権を守ろうとする声に、新陳代謝を図るためのチャレンジが押し潰されているのである。
米欧のような経済の新陳代謝を図ることができなかった日本は、当然の結果として、90年代後半以降、米欧と比べて明らかに低い経済成長に甘んじている。
成熟日本の政策は、すべての国民が安心して生きていける社会を実現する「分配論」を基軸とすべきだというのが本連載の主題のテーマではある。しかしそれと並行して、分配するためのパイ(GDP)を可能な限り拡大することも重要である。成熟社会の中で少しでも効率的にパイを大きくしようとするならば、その手段は、これまで延々とやってきた巨額の公共事業投資でも、際限なき金融緩和でもない。生産性の高い企業と産業へのシフト、すなわち経済の新陳代謝を図ることなのである。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます