Willow's Island

since 2005

後期高齢者医療制度

2008年05月05日 23時24分39秒 | 時事

 悪名高い後期高齢者医療制度が始まって、一ヶ月ほど経った。私の職場である病院ではまだそれほど問題になっていないが、少し前までのニュースにおいては、とにかく非難囂々の嵐だった。新聞でもテレビでも、この制度を擁護する発言は聞いたことがない。75歳以上の高齢者という「弱者」から負担を強いることがよっぽど腹に据えかねるのだろうか。テレビなどでは散々政府の対応を批判した後、必ず決まり文句のように言われるのが、「まず政府が無駄使いをなくせ」という台詞である。たいていはこれが結論となり、それで話は終わってしまう。
 しかし、じゃあその「無駄使い」というのは具体的に何か、どの費目を何円ほど政府予算から削ればいいのか、という話にまでは及ぶことは皆無だ。行政の無駄を指摘する時によく言われるのが、「年度末になると予算消化のために道路工事が増える」という言葉だが、これはおかしい。予算というのは、具体的な目的があって前年度に要求され、年度当初に費目ごとに細かく配分されるものなので、「とにかく消化したいから」という理由で年度末になっていきなり配分されるものではないからだ。それに、財源不足に悩む役所の世界で「予算消化」という言葉は完全に死語である。実際、公共事業費は以前と比べて大幅に減額された。新規の道路建設事業など、今はほとんどないだろう。しかし、こういった支出抑制が福祉や医療などの分野にちょっとでも及ぶと、ものすごい騒ぎになるのである。
問題は、バブル以前の時代を想定した税制のまま、高齢化や格差が進むにつれ、行政に対する需要はますます増えていった、ということだろう。このままの体制が維持できるわけないので、政府支出をもっと減らすか、増税するか、しかないのだが、具体的に何の支出を減らすか、などということはテレビや新聞などでは誰も言わない。それによって不利益を被る人達から猛烈な抗議を受けるからだ。ましてや、増税賛成、なんてことは余計に言えない。だから大マスコミができることといえば、抽象的な行政バッシングをすることぐらいしかないのである。
 高齢者の負担を増やさなければならないことは確かに残念だが、じゃあ現実的にどうすれば現在の医療レベルをこれからも維持できるのか、真剣に議論している人は少ない気がする。

最新の画像もっと見る

4 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (上田)
2008-05-06 08:36:08
批判するのなら代替案を同時に示しながら。というのが最も望ましいのでしょうけどね。まあマスコミも、現場でこんなに苦慮しているとか、保険証が届いていないといった、事実面を伝えるのは必要だがあまり主観的な批判は感心しません。
返信する
Unknown (yosikuri2000)
2008-05-06 10:09:57
現役世代の社会保険が年々上がってきている。これ以上社会保険の中の健康保険が上がると現役世代の手取りが少なくなって仕事に対するモチベーションが下がってしまう。今の医療制度を維持するには後期高齢者医療制度は仕方ないと思う。現役世代の負担する保険料で年金をもらっている以上、少しは妥協するべきだ。今もらっている人は、今、保険料を納めている現役世代よりも年金、医療の面で優遇されているからだ。自分達だけの事を考え負担が増えるではいけない。若い世代の人も考えて負担増に納得してほしい。
私が思うに民主党みたいに道路特定財源問題なども先送りではいけないと思う。今必要であれば税金も上げて次世代に負担させてはいけないと思う。
返信する
Unknown (willow)
2008-05-06 20:16:37
上田さん> とりあえず行政を批判しておけば、どこからも文句は出ませんからねえ。安易なものです。

yosikuri> 良い意見をありがとう。俺ら世代が老人になったとき、年金や医療費はどうなってるんだろうなあ。本当にやばいよ。
返信する
Unknown (宅86)
2008-05-09 19:59:25
私には無縁と思っていたら届きました、「年金特別便」。しかも、役所に行ったら一部記録が抜け落ちていた^^;; 私達が高齢者となった暁には医療制度がどうなっているのか、とか… 不安が多いですね。
返信する

post a comment