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NHKスペシャル 862兆円 借金はこうして膨らんだ

2010年12月08日 23時33分10秒 | テレビ

 録画しておいた「NHKスペシャル 862兆円 借金はこうして膨らんだ」を見た。日本の財政赤字はなぜこれほど際限なく膨らんでいったのか、というドキュメンタリーだ。要旨は以下のとおりである。
 原因はいろいろあるが、発端は田中角栄の時代だったようだ。田中角栄が列島改造論といって公共事業を大幅に拡大し、同時に社会保障も大きく発展させた。財源のあてはなかったが、その当時の日本経済はまだ成長過程にあり、放っておいても税収は増えたのである。それでも税収を上回る支出は増加する一方で、赤字国債の増発は避けられなかった。悩んだ大蔵省は、平成元年に消費税を導入した。当時はバブルの真っ直中で、国民の反発も少なかったのである。おかげで平成2年から5年までは、赤字国債なしで切り抜けられた。しかし平成6年からは、また借金体質に戻った。なぜかといと、それ以前に大幅な減税を実施していたからだ。
 こうなることが分かってなぜ減税したのか。それはアメリカ、クリントン政権からの圧力である。膨大な対日貿易赤字を抱えていたアメリカは、何としても日本人にアメリカの商品を買ってもらう必要があった。それで「日米の良好な関係のために」とかいって、日本に減税をやらせたのだ。アメリカの当局は日本が財政赤字に悩んでいたことは知っていたが、そんなことは「関心がなかった」のだそうだ。テレビではさらっと流していたが、これは明確な内政干渉じゃないのか。もちろんアメリカのあからさまな内政干渉はこれだけじゃないんだけど、なんで日本人はこういうことに全然怒らないのかねえ・・・。本当に不思議だ。
 その後は、平成9年に消費税を5%に増税するも、平成10年から11年にかけての超大規模な景気刺激策のせいで、もう後戻りできないほどの借金体質になってしまった。しかも、あれほど馬鹿みたいな金額を投じたにもかかわらず、日本の景気は大して回復しなかった。日本経済はとっくに成熟期を迎えていたので、政府が景気刺激をやったところで大きな成長など見込めなくなってしまったのである。歳出にしても、社会保障などは公共事業と違っていきなり「はい、やめます」というわけにもいかない。いくら無駄をなくすとはいっても、歳出の削減には限界がある。
 じゃあ増税しかない、というのはみんな分かってはいたが、財務省も政治家もその責任をとりたくないため、今までずるずると問題は先延ばしにされてきた。そして解決の糸口すらまったくつかめないまま、現在にいたる、というわけである。