Willow's Island

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バッシング

2007年07月21日 22時37分23秒 | 映画

 WOWOWで録画しておいた日本映画「バッシング」を見た。3年前に起きたイラクでの日本人人質事件を覚えている人も多いと思うが、その時の人質の一人である高遠菜穂子さんをモデルにしたと思われる映画である。あの事件で人質になった人達は帰国後、ネットを中心にかなりのバッシングを受けることになった。映画の中でのバッシングもひどく、人質になった女性は仕事をクビになるだけでなく、その父親まで仕事を辞めさせられ、自殺にまで追い込まれる、という徹底ぶりだ。コンビニで買い物をしたヒロインが若者数人に取り囲まれ、袋を奪われ、おでんがぶちまけられる、というシーンまであった。本当にこんなことが高遠さんにも起きたのだろうか。
 この映画を見て思ったのだが、なぜ3年前はこれほどのバッシングが起きたのだろうか、ということだ。実は私自身も、当時はあの3人には不快感を持っていた。しかし冷静に考えると、いくら渡航自粛の国に行って政府に迷惑をかけたとはいえ、あんなに怒る必要があったのだろうか。日本の国民が怒るべきなのは、むしろ3人を人質にした連中ではないのか。外国人には、このことがよく理解できなかったらしい。今の私も自分の心情ながら、よく理解できない。
 思うに、日本が長い間「平和ボケ」などと呼ばれ続けたコンプレックスが、あの人質事件で刺激されたからではないか。もし若者の勝手な行動で自衛隊が撤退するようなことになれば、それこそ日本の恥だ、というような感覚があったのかもしれない。あくまでも当時の自分の気持ちを分析しただけなので、この見方が正しいのか自信はないが。