今日も図書館で借りた本を読んだ。今はカンボジアで「日韓アジア基金」の代表としてがんばっている禹守根(ウ・スグン)氏の著書「たたかれる覚悟で書いた韓国人禹君から日本への直言」だ。慶応大学大学院への国費留学生として95年から日本に住む禹守根氏が、日本への思いを率直に綴った本である。
よくありがちな韓国人による日本批判の本ではなく、日本への愛情や尊敬心を感じることのできる内容となっている。かといって呉善花氏のように一方的な日本賛辞ではなく、現代日本(特に若者世代)への痛烈な批判が多い。しかしその批判の大部分は的をえており、日本人としては耳が痛いと同時に、このように真剣な意見を言ってくれる韓国人の存在が有り難かった。
彼によれば、日本人は欧米崇拝や英語コンプレックスがあまりにもひどく、その反面、自分の国(日本)に対する誇りがなさすぎで、アジア諸国への関心も低すぎる、ということだ。多少の誇張はあるものの、確かにその通りである。日本人に対して「愛国心を持て」と言う韓国人も珍しいが。未だ欧米に対して卑屈な考えの日本人(特に外務省)も多いのは、事実である。一般の人も、英語ができないことへのコンプレックスが目立ちすぎる。そのくせ、若者世代には向上心がほとんど見られない。禹さんの批判を読みながら「そうだよなあ・・・」と感じるしかなかった。
しかし一つ「違うな」と感じたのは、日本がIT化に立ち遅れており、アジア諸国に追い抜かれるままだ、という意見である。この本は5年前に書かれたから仕方ないのかもしれないが、今や日本はブロードバンドの普及率・利用料の安さにおいて、世界屈指のレベルだ。少なくとも技術分野において、日本が遅れたままであるわけがない。
それから気になったのが、日本の若者の愛国心についてである。いろんな国で若者に「自分の国を誇りに思うか?」と聞いたところ、「誇りに思う」と答えた割合は、日本の若者が最も低かったそうだ。また、「自分の国を守るために命をかけるか?」と聞けば、「はい」と答えた者も日本人が一番低かったそうだ。ちなみに「はい」が最も多かったのは中国だ。しかし、この設問自体が最悪じゃないか? 安易に「国のため命をかける」なんて言う奴を、私は信用しない。「命なんてかけるわけない」と答えた日本の若者に対し、中国人が「戦争になった場合、君は助かっても国はなくなるかもしれないんだぞ」とか言ったらしいが、それこそ逆だろ。国が残ったところで自分が死んだら意味がない。政治的な必要から、中国がそういう愛国教育をしてるだけのことである。日本人が「国のために死ぬ」なんて言い出したら、それこそ「歴史を反省していない」ことになる。