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外国人労働者の受入がダメな理由

2019年01月20日 12時35分53秒 | 時事

 本屋で久しぶりに「週刊東洋経済」を買ってみた。「日本の生存戦略」と題してデービッド・アトキンソン氏の長いインタビューが掲載されていたからだ。この中でアトキンソン氏は、私の期待通り目から鱗の落ちることをいくつか述べていた。少し長いが、25 ページから26ページまでの一部を以下に引用する。

 いちばんの問題は政策を考えている人に分析能力がないこと。 経営者の言いなりになっている。企業は、高度人材を積極的に受け入れると言う一方で、実際はフィリピンやミャンマー、ベトナムなどから安価な労働力を取り込もうとしている。これは明らかに矛盾だ。
 今の政策は日本が途上国に戻る道を作っている。途上国から人を受け入れれば受け入れるほど、それらの国の水準に収斂していく。そこまで考えている人があまりいない。
 もうひとつの重要な問題は、経営者が一般社員に対する配慮を欠いていることだ。経営者は自分の報酬が担保されるなら、日本が途上国になったとしても何とも思わない。「社長の腕の見せどころは、どれだけ安い給料でたくさん働かせるか」と考えている人が大半であることを、私は経営者の集まりなどに参加して痛感する。
 そもそも外国人を受け入れる必要があると言っているのは、外食産業や宿泊業など、生産性が著しく低く、過酷な労働条件の業種だ。これまで過度な価格競争を長く繰り返してきた結果、まともだ給料を払えなくなったところが「人手不足だ」と主張している。
  これは人手が足りないのではなく、ひどい労働条件なので働きたいと思う人がいないだけ。そこに外国人を入れるというのは、ばかげた政策だ。


 なるほど、確かに言われてみれば、その通りだ。日本はこれから人口が減少するのだから、国力を維持するためには移民を受け入れるしかないと私は思ってきた。いろんな国の外国人が増えることによって、日本の社会や文化の多様性にも貢献し、面白くなるのではないか、などとも思っていた。だから私は外国人受け入れ賛成論者であったのだが、これを読んで考えを変えた
  これからの日本に必要なのは、付加価値の高い産業しかない。発展途上国であった頃に必要とされた工業は、中国などの新興国に勝てるはずもない。そもそも、工業の後発国と製品の価格で張り合おうとしたことが、日本の大きな誤りであったのだ。
 付加価値の高い知的産業を伸ばすには、労働者の高い教育レベルが求められる。日本にとってはこれが決定的に重要となる。しかし外国人を受け入れるとなると、その外国人が従事する仕事はどんなものであるか? 高い日本語能力が求められない仕事、ということになる。 日本語能力が必要のない仕事というものが、高い付加価値を生むとは到底思えない。日本を成長させるために必要なものではない、ということだ 。
 介護に人材が足りないというのはよく聞くが、 それは介護報酬があまりにも低く設定されていることが根本にある。介護保険制度の抜本的な見直しも必要ということになる。

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