10月8日(日) 久し振りに埼玉・秩父地方へ日帰り旅。
場所は秩父市吉田下吉田の椋神社(むく)。
毎年、10月第2日曜日に開催される椋神社秋の例大祭を見物に。
6日(金)の台風並みに発達した猛烈な低気圧の暴風雨で、祭り用の河川敷駐車場が流失したと云うので、駐車場確保のため朝早く出発。
朝の8時前に第6無料駐車場でガードマンに文句を言われながらも無理やり駐車です。
私の車が最後で後の車は有料駐車場への案内でした。
妻も「今日も朝から運が付いてるね。」って・・・。
5分ほど土の農道を上って椋神社に到着。
平成の大合併で同じ市になった秩父市の秩父神社ほどではないが、山間地にしては立派な神社でした。(椋神社は秩父事件の困民党蜂起の場所)
椋神社と隣接する八幡宮には極彩色の彫刻が飾られていました。(まさか左甚五郎では・・・?。)
境内には所狭しと屋台が軒を並べて既に朝から開店商売中。
椋神社例大祭の分け祭りの龍勢見物には、有料の桟敷席が多数用意されていました。
9時から始まる龍勢見物の人達が既に腰を下ろしています。
中には早くもと料理で朝宴会している豪儀な連中も・・・。
写真正面の山は龍勢の舞台になる芦田山で、真中には龍勢の発射櫓(ヤグラ)が聳え立っています。(木製櫓の高さは22m)
龍勢を打ち上げる各流派の色とりどりの幟旗が強い秋風に煽られていました。
有料の桟敷席は遠慮して、何とか良く見える無料の場所を探しまくって、立ち入り禁止区域真近の道路際をGET!!
ここは有料席より前ですから、邪魔されずに全てが見物出来る最高の場所!
オマケに龍勢を運ぶ時に撒かれる“お餅”“お菓子”“小銭”などが頂ける特典まで、早く到着したので益々運が向いてきたみたい・・・。
龍勢が打ち上げられる9時前から搬入路には、それぞれ工夫を凝らした龍勢が運ばれて行きました。
龍勢とは長い竹の先に火薬を詰めた筒を付け、それに点火して大空く打ち揚げる原始的ロケットのことです。(別名 農民ロケット 龍勢煙火)
起源は、鉄砲伝来(1543年)から30年ほど経った天正3年(1575年)との事。
(日本各地に鉄砲火薬の伝播が早いことには驚きますね。)
初めは合戦時の狼煙として用いられ、後に地元農民が簡単な筒花火を打ち上げて五穀豊穣を祈願していたそうです。
江戸・安政年間(1772-1781)に地元の住職が長い絹布を火薬で付けて打ち上げ、それが天に昇る龍に似ていることから龍勢と呼ばれる様になったそうです。
(夜の打ち上げは星のごとく流星と、昼のは天空に竜の翔るを見るようで竜勢とも言われます。)
上左写真の先端部に黄色と黒のパラシュートが格納されているのが見えます(背負い物と呼ばれ、唐傘・布テープ・落下傘などを詰め上空で放ちます)。
上部のピンク色はパラグライダーでしょうか? その下の緑色部が火薬の充填された火薬筒(筒は松材で中空構造、直径15cm・長さ70~80cm 中空部に黒色火薬6kg 周囲を竹編みのタガで締める)です。
矢柄と云われる長い竹竿(15~18m)で龍勢ロケットの方向性とバランスを取るのです。 龍勢は構想1年、製作1ヶ月、「龍勢祭」がそれぞれの打ち上げ流派の龍勢師達の晴舞台となります。
各流派の龍勢打ち上げ前には、それぞれの龍勢口上が声高らかに述べられる儀式が特設櫓で行われます。
口上役にはタレントのラッシャー板前も出演して、気張った声で口上を・・・。
「東西ぃ~、東西~ぃ、ここにかけ置く龍の次第は~っ、○×流の日々の技の精進の証にして~ぇ、秋空に天高く舞う△□号なりぃ~。・・中略・・ ここに商売繁盛と皆様のご健勝を祈念して~ぇ、これを椋神社にご奉納~~!」っと、立派に口上を述べていました。
発射櫓(やぐら)の最上部で振られる旗が赤色から白色に変わると発射準備OKです。 その後櫓から龍勢師たちがぞろぞろと下りて避難して点火・発射~っ。
点火から3~5秒間櫓で燃焼・噴気してから轟音と共に急速上昇。
上写真の龍勢は打ち上げ成功で、美しい軌跡を描いて昇龍となりました。
今までの最高高度は535mですが、龍勢コンテストは打ち上げ高度だけではなく、飛翔姿勢や背負い物からの放出落下物などの姿も評価に入れて順位を決めるそうです。
龍勢が遥か上空で炸裂して、背負い物(しょいもの)から様々なヤクモノが空中に放出され、更に子花火が次々に炸裂、カラフルな色模様を秋の大空に咲かせていました。
龍勢ロケットの安定性を保つ為の矢柄と云われる長い竹竿は危険防止の為、パラシュートで吊り下げて落下・着地させます。
でも、当日は強風のため遠方まで流されていましたし、直ぐ近くの有料席にも燃え残った火薬が落下・飛びはね危険な一瞬となりました。
火薬が燃焼しながら回転降下中の紫唐傘が所定外に落ちて有料桟敷の皆さん大騒ぎです。
中の写真は上昇せずに櫓の中で龍勢の火薬全てが燃焼、「居づくまり」と言われる失敗作。
右爆発写真は駐車場への帰路、デジタル望遠で撮った、発射櫓での龍勢爆発です。 上昇しないまま爆発するのを「筒っぱね」と呼ぶそうです。
今年、龍勢を打ち上げたのは26流派・35本。
因みに流派名を記しますと、武甲雲流・上蹴翔舞流・愛火雲流・巻神流・美峯雲流・櫻龍会・秋雲流・東雲流・開祖昇雲流・・・・などで、雲と名付く流派が多くありました。開祖から雲の一文字を貰ったのでしょうか。
朝の9時から13分間隔で夕方5時までの長丁場、最後までは見ませんが、龍勢ロケットの成功率は70%程。
失敗作もそれぞれユニークで面白くて、非常に印象に残る「龍勢祭」でした。
龍勢ロケットを打ち上げる祭りは他には3ヶ所で、静岡・岡部町「朝比奈祭」 清水市「草薙神社祭」 滋賀・米原市「流星祭」です。
昔はもっと沢山の場所で行われたようですが、次第に廃れて今では全国4ヶ所のみ。
貴重なお祭りですから、是非後世までも残して欲しいと思います。(埼玉県無形民俗文化財)
秩父・吉田の龍勢祭は日本三大奇祭の一つ ?。
読者にはぜひオススメしたい祭りです。
2006 10 11(水) 時々
最高気温22℃
10月11日 「リンゴの唄」の日(並木路子) ウインクの日(10と11を横にすると開いた目と閉じた目に)
タイ国の農民ロケット。 制作動画。
タイ国の農民ロケット。 打上げ動画。