おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

専有部分に立ち入る

2021-09-04 | マンション〔トラブル〕

 

以前に 次のブログを記しました

エッというような相談 だが - おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み (goo.ne.jp)

 

残念なことですが 一つ屋根の下で暮らしあう住民さん同士でも 気の合う方もいれば

どうにも シックリとしない面持ちでの付き合いになる方もおられ・・・

 

専有部分へ 上階からと思われる漏水があり その事故の原因を調べるとか修理するために

どうしても専有部分への立入りが必要という場合には それを拒むことはできないことに

なっています


 
 区分所有法 
(区分所有者の権利義務等)            ※ 条文に省略部アリ
第六条 

2 区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内
において、他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求す
ことができる。
この場合において、他の区分所有者が損害を受けたときは、その償金を支払わなければな
らない。

 
 
使用請求権 は 規定によって当然に認められる法定請求権です
 
この<使用権>は 区分所有者同士が相互に持っているもの 
 
 
ところで 法定請求権 なのだから とはいえ 
 
突然訪問し 

『権利があるので立ち入らせてもらうよ』

式では イカガナモノカ と 誰しも思うことでしょう
 
[権利]などというものを得ると なぜか いつもと違う言動をしてしまうようなことも
ありそう ですが
他人の生活を妨害するおそれがあるのですから 行使にも 当然 マナーが必要

 
最も迷惑にならないように行使するべき
なので  
使用の範囲・時期・方法などについて 具体的に話し合う つまり事前協議というような
ことを済ましてから訪ねる ということを実行するのが スムースにいくコツかなと思え
ます
 
立入りに どうしても応じない場合は 裁判を起こしたうえでの使用となるのも止むを得
ない と 理解されているといえましょう(自力で強行するのは 違法とされますので)
 
 
なんらかの行き違いがあった結果 なのでしょうけれど 
給水管からの漏水事故について下の階に住む者が給水管の点検・修理のために住戸に立ち
入ること求めたのですが 上の階の者が強絶した場合に 不法行為だと判断され損害賠償
責任を負わされた裁判もあります(大阪地判昭和54・9・28)
 
 
 
ところで
区分所有法に 規定が置かれる以前には 次の民法の条文が 状況が似ているということ
で類推適用されていました

 
民 法(隣地の使用請求)
第二百九条 
土地の所有者は、境界又はその付近において障壁又は建物を築造し又は修繕するため必要
な範囲内で、隣地の使用を請求することができる。
ただし、隣人の承諾がなければ、その住家に立ち入ることはできない

2 前項の場合において、隣人が損害を受けたときは、その償金を請求することができる。

 

・・・承諾がなければ、その住家に立ち入ることはできない。
 
となっているので
 
区分所有者が他の区分所有者の専有部分に立ち入る場合には 〔承諾〕が必要となるのか
と 今も 質問があったりします
 
民法隣地使用権の場合 住戸への立入りは 承諾がなければ判決によっても許されるべ
きではない と 一般に理解されているようなのです が・・・
 
学者さんのなかには 区分所有建物というものの 特別な性質を考えると その者の承諾
がないのなら承諾に代わる判決を得ることで 立ち入ることができるとすべき という考
を持つ方もおられます
 
 
ということで 〔使用請求権〕 の行使 クレグレも 慎重に ということに尽きます 
 
 
それにしても [立ち入り] という言葉のニュアンスが どうもいただけないような ?
(どういうわけか ズカズカ という言葉を連れているような 連想をしてしまう)
思いをしているのですが 皆さんは いかがな印象をお持ちですか