日本のマンションにおいての 管理組合の平均戸数は ホボ 60戸
この場合 標準管理規約によると 30人以上の区分所有者が参加して
その過半数である16名が賛成すると 総会の議案(普通議案)が成
立することになる
16人以上の意思であれば 60人の団体を拘束できる力が生れるの
です
(以上は 一人一議決権でのことで 一人で多くの議決権を持つ者が
参加の例などでは より極く少数人( 四 五人で 議案成立とい
うことも・・・)
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(総会の会議及び議事)
第47条
総会の会議(WEB会議システム等を用いて開催する会議を含む。)は、
前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しな
ければならない。
2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
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特別多数での議案成立の場面では 当然のことですが普通決議よりも
要件が厳格になっています
組合員の自由を過度に制約しないような仕組みになっているともいえる
でしょう
〔約束事が普通決議でできあがってしまっては自由度が必要以上に損な
われてしまうことにもなるので つまり 団体的な拘束力を緩めるため
の特別決議の仕組みであるとも考えられましょう〕
議決要件を厳格にすることは拘束を緩めるのが目的で 議決要件を緩く
することは 団体の拘束力を強くするのが目的となってもいるのだ と
いうことに注意です
ということで 標準管理規約と区分所有法に基づいての記事です
さて
管理組合員の誰しもが 特に強く関心を持つのは おそらく次の条項でしょうか
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(議決事項)
第48条
次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
六 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
※ 管理費等の具体的な金額は規約で決められていない
限り総会で決まることになります
(この号のことは 標準管理規約47条での特別決議
事項にはなっていない)
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(管理費等)
第25条
区分所有者は、敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため、次の
費用(以下「管理費等」という。)を管理組合に納入しなければならない。
一 管理費
二 修繕積立金
2 管理費等の額については、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて
算出するものとする。
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裁判になったものの例として 次のようなものがあります
《判例を探しました 詳細は不明なのですが》
[ ・修繕維持積立金の額の一覧表が規約の別表として添付されている形式であ
った
・<管理費等及び専用使用料の額並びに賦課徴収方法、規約の変更及び使用
細則の制定又は変更については、総会の決議を経なければならない>
という規約の条項があった ]
この場合に 総会において修繕積立金の増額決議がなされたのですが 規約変更
という形は採用していませんでした(決議はあったとしても 規約変更 という
手続はしていないではないか という点が問題となったと解されます
規約変更案議決成立 と 総会提示議案の議決成立 とは異なることではあります)
この 東京地判平成21・12・14 では 次のような理由で増額決議を有効
としました
【管理規約が、規約の変更とは別に修繕維持積立金の額について規定していることか
らすると、修繕維持積立金の額の一覧表が管理規約の別表として添付されていると
しても、修繕維持積立金の額の変更が規約の変更に当たるとは解されない】
という判断でした
別表 とはいえ 規約に添付なのだから規約だ というような主張であったのでし
ょうか ?
※ 管理組合員の守るべき規準として 規約・集会の議決 がありま
すが
共用部分の持分割合(区分所有法14条④)のように 規約での
み定めることが認められ 集会で決することはできない という
約束ごともあります
ちなみに 総会決議ということに関して 相談があったことですが
次のような場合はどうでしょうか
[管理費等の支払を猶予して欲しい との滞納者からの要望があった]
この場合 管理費等の支払を猶予するということは 標準管理規約での
・・・
(議決事項)
第48条
次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
六 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
・・・
の
管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法 にあたるのだから
総会の決議を必要とするとの判例があります〔東京地判平成20・4・24〕
あくまで 一判例ですが・・・原則としては そのような理解になると
考えられます が・・・
実務的に考えると サマザマな情況下での債権一部免除などのことの執行部
対応に関することなどの相談
などとの比較考量あたりを思ってみると
区分所有法に 次のような条項もあります ので
規約を受けた細則等で 執行部に交渉一任の免除要件及び限度割合額などの条項
があれば好いのにな(情況によって 猶予・一部債権免除(放棄)あたりまでの
扱いも可能とするような規準)と思えたりする場合もあり得ます が・・・
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(共用部分の管理)
第十八条
共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。
ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。
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あわせて 総会決議に関して もうひとつ
ある事項(例えば 債権回収規準)の設定・改変については 特別決議が
必要となると定めるための決議は 特別決議までは不要で 普通決議で足り
ると解釈されているようです〔特別決議事項とする決議には 特別決議が必
要とされるわけではない ということ〕