おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

ナンダカナー という気持ちが続くなら

2021-09-01 | マンション管理関連試験等サポート   

 

問題について 《解説》 についての 思いを記させていただきます

 

 

マンション管理士試験の過去の問題です

〔問〕

Aが所有する甲マンションの301号室をBが賃借し、B及びCの2人で居住

していたところ、Bが死亡した場合における次の記述のうち、民法及び借地借家

法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。

 

 CがBの妻であるときは、Aの承諾がなくても、Cは、Aに対し301号室

 に居住することを主張することができる。

 CがBの妻であり、Bに子がなく母Dがいるときは、CとDとの遺産分割

 協議が成立するまでの間、Dの承諾がなくても、Cは、Dに対し301号室に

 居住することを主張することができる。

 CがBの内縁の妻であり、Bに前妻との子Eがいるときは、EがBの賃借

 人の地位を相続するので、Cは、Aに対し301号室に居住することを主張す

 ることができない。

 CがBの内縁の妻であり、Bに相続人がいないときは、Cは、Bの賃借人

 の地位を承継することができるので、Aに対し301号室に居住することを主

 張することができる。

 

問題文に 〔・・・判例によれば・・・〕という文言があります

そこで想起されるだろう判例としては 

肢においては 

【共同相続人の一人が相続開始前から被相続人の許諾を得て遺産である建物に

 おいて被相続人と同居してきたときは、相続開始後も遺産分割までは、無償で

 使用させる旨の被相続人の同意があったものと推認され、被相続人の地位を

 承継した他の相続人等が貸主となり同居相続人を借主とする使用貸借関係が

 存続する

 相続開始後の建物使用により当該相続人が得る利益に法律上の原因がないと

 いうことはできないから 他の共同相続人による当該相続人に対する不当利得

 の返還請求には理由がない。         最判平成8・12・17】

              ※ この記事では X判例 と呼ばせていただきます

   

 肢においては

【建物賃借人と同居しているその内縁の妻は、夫が死亡した場合、他に居住して

 いる相続人が承継した賃借権を援用して、賃貸人に対しその建物に居住する

 権利を主張することができるが、賃借人となるわけではないから賃料支払の

 義務は負わない。               最判昭和42・2・21】

            ※ この記事では Y判例 と呼ばせていただきます

  [ 内縁の妻が被相続人と共に占有していた場合について 類似内容の判例
                     (最判平10・2・26)あり ]

 

 

 過去問題集の解説には 判例の内容(裁判所名・判決日時 等も)が 
 登場しません

 

 肢についての解説においては

 <CとDが相続人になり、遺産分割協議が成立するまでの間、その相続財産は

  C・Dの共有に属する(898条)。そして、各共有者(CとD)は、共有

  物の全部について、その持分に応じた使用ができるため(249条)、共有

  者の1人であるCは、他の共有者であるDの承諾がなくても、Dに対し、

  301号室に居住することを主張できる(判例)。>

  とあるばかり

  これを読んで 学習者の方は スッキリと理解できるでしょうか ?

  『・・・そうであるとすると DにしたってCに対して同様の主張が可能?

   なのかな? コレ 単に898と249の条文を根拠とする説明なのでは? 

   最後に登場の(判例)は何処に登場しているのだろう 内容は・・ 

   イロイロ知りたいが この表記だけでは追っかけることもできないナー?』

 

X判例には [被相続人の同意があったものと推認]というような ポイント が示

されているのですが

 

 

肢についての解説では

 <賃借人の相続人(本肢E)から、死亡した賃借人の内縁の妻(本肢C)

  に対する明渡請求を権利濫用であると否定した本文類似の判例により

  (民法1条3項、判例)、Cは、Aに対し301号室に居住すること

  を主張できる。>

とあるばかり

 

 

[相続人が承継した賃借権を援用]して賃貸人に主張できるという より

具体的な根拠がY判例には示されているのですが・・・

 

かたや 

過去問題集の解説には キチンと 肢についての説明において X・Y 双方

判例とも 要点とともに登場しています

 

以前にも少々 使用テキスト・問題集などについて 率直に? 述べさせていた

だいたことがあるのですが

ケッシテ 非難などということではなく 

どうも 質問に答えていない答えだ というふうな

どうも 紙幅の関係でのことだけとは思えない(現に他社は同サイズでも それなりに

工夫なさってそれなりの解説を尽くしているように思えるので)大雑把過ぎる解説だ

もう少し 法的な繊細さがあっていいのでは と思えてしまうものもある

 もしかすると 受験合格のためには 要領のよい学習が必要
 あまり詳しさを追う学習はむしろ害にもなる
 判例を知るまでの必要を認めない それよりも 効率を追求しての短期合格こそ
 賞賛に値するものだ  というようなポリシーに基づく方針なのかもしれないが?
 そうした途もあってもよいのかもしれないが せめて学習者の疑問を晴らすべく
 判例を追う情報を載せるくらいの配慮は必要と思われるので ソコにも至らない解説
 は 
少なくとも妥当とはいえない と 考えます
 将来の実務を思うと 余計 判例というものの大切さを知っておくべきなので 判例
 とのつきあ
いに費やすエネルギーをタイセツに思う心も 大事だと考えます

 

そこで 

解説などを読んでいて “ナンダカナー” “自分の波長とは合いそうもないかな ?”

と しばしば思えてしまうような問題集ならば セカンドオピニオン的に 別なものも参照

してみるということも検討に値する

のでは ということを伝えたかったのです

 

 

「問題集は コレに限りますよね 」などとの発言を見聞きするにつけ エッと 自身は思

うことがあるので 参考までに 本日のブログとなりました

名声? とか 営業センス ? とかに惑わされることなく 利用していてピンとこない

場合には 他のものも眺めてみるチャンスを持ってはイカガか という提案です

 

安価なものではないので他を参照用として入手検討などと申すこと恐縮してしまうのですが 

受験学習者さんの言葉などからすると 解説に そうとうに差異があることもあるようです

たしかに 眺めさせていただいていて コレは質問の意に沿っているとはいえないような解説だ

との感を覚えてしまうこともありました

差しさわりがあるかも ですが 比較してみた時に やはり解説の優劣の感想を求められたら

断然 コチラを推奨するだろうな という場面もあったりします

 

学習力の伸びに支障があるようなら そのようなことをも 見つめてみること

ケッシテ無駄ではないと思われます

要するに 自分にとって理解しやすい 学力を伸ばせる 基本書・問題集の選択もタイセツと

いうこと

 

 

すみません

極くシンプルに

について

 Bの相続人Cは 被相続人Bの一切の権利義務を承継する (民896)

について

 X判例を参照

について

 Y判例を参照

について


(居住用建物の賃貸借の承継)
第三十六条 
居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、その当時婚姻又は
縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった
同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する
ただし、相続人なしに死亡したことを知った後一月以内に建物の賃貸人に反対の意思を表
示したときは、この限りでない。

2 前項本文の場合においては、建物の賃貸借関係に基づき生じた債権又は債務は、同項
の規定により建物の賃借人の権利義務を承継した者に帰属する。

 

ということで 誤っているのは  です