配偶者居住権 と 配偶者短期居住権 は 実務上も重要なものです
マンション管理士試験(管理業務主任者試験)に限らず ですが
受験上も 要注意 です(最近に出題があったとしても 繰り返しの出題があるように思われるのですが・・)
繰り返し申していて恐縮ですが 仕組みについて もっともシンプルに 要点を 述べきっているのは
条文そのものだ といえると考えます
条文を超えるような効果的要点メモは無いのでは ?
ということで 受験間近においては特に 条文に当たっておくのが 効率の良い学びになると 思われる
のですが・・・
自身のスケジュールを乱すことのない範囲で 条文を眺めてみてください
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(配偶者居住権)
第千二十八条 被相続人の配偶者(以下この章において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下この章において「配偶者居住権」という。)を取得する。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない。
一 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。
二 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。
※ 内縁の配偶者は 含まれない
※ 遺贈ではなく死因贈与も可(554条)
※ 被相続人が賃借していた借家に配偶者が居住していた場合には 配偶者居住権は
成立しない
2 居住建物が配偶者の財産に属することとなった場合であっても、他の者がその共有持分を有するときは、配偶者居住権は、消滅しない。
3 第九百三条第四項の規定は、配偶者居住権の遺贈について準用する。
※ 居住用不動産の価額を特別受益として扱わずに計算することができる(控除しなくても
済む)ので 配偶者の遺産分割における取得額が増えることになる
(特別受益者の相続分)
第九百三条 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは
生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額に
その贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した
相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
4 婚姻期間が二十年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又
はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与について第一項の
規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定する。
(審判による配偶者居住権の取得)
第千二十九条 遺産の分割の請求を受けた家庭裁判所は、次に掲げる場合に限り、配偶者が配偶者居住権を取得する旨を定めることができる。
一 共同相続人間に配偶者が配偶者居住権を取得することについて合意が成立しているとき。
二 配偶者が家庭裁判所に対して配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出た場合において、居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があると認めるとき(前号に掲げる場合を除く。)。
(配偶者居住権の存続期間)
第千三十条 配偶者居住権の存続期間は、配偶者の終身の間とする。ただし、遺産の分割の協議若しくは遺言に別段の定めがあるとき、又は家庭裁判所が遺産の分割の審判において別段の定めをしたときは、その定めるところによる。
(配偶者居住権の登記等)
第千三十一条 居住建物の所有者は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る。以下この節において同じ。)に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負う。
2 第六百五条の規定は配偶者居住権について、第六百五条の四の規定は配偶者居住権の設定の登記を備えた場合について準用する。
(配偶者による使用及び収益)
第千三十二条 配偶者は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用及び収益をしなければならない。ただし、従前居住の用に供していなかった部分について、これを居住の用に供することを妨げない。
2 配偶者居住権は、譲渡することができない。
3 配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築若しくは増築をし、又は第三者に居住建物の使用若しくは収益をさせることができない。
4 配偶者が第一項又は前項の規定に違反した場合において、居住建物の所有者が相当の期間を定めてその是正の催告をし、その期間内に是正がされないときは、居住建物の所有者は、当該配偶者に対する意思表示によって配偶者居住権を消滅させることができる。
(居住建物の修繕等)
第千三十三条 配偶者は、居住建物の使用及び収益に必要な修繕をすることができる。
2 居住建物の修繕が必要である場合において、配偶者が相当の期間内に必要な修繕をしないときは、居住建物の所有者は、その修繕をすることができる。
3 居住建物が修繕を要するとき(第一項の規定により配偶者が自らその修繕をするときを除く。)、又は居住建物について権利を主張する者があるときは、配偶者は、居住建物の所有者に対し、遅滞なくその旨を通知しなければならない。ただし、居住建物の所有者が既にこれを知っているときは、この限りでない。
(居住建物の費用の負担)
第千三十四条 配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担する。
2 第五百八十三条第二項の規定は、前項の通常の必要費以外の費用について準用する。
(居住建物の返還等)
第千三十五条 配偶者は、配偶者居住権が消滅したときは、居住建物の返還をしなければならない。ただし、配偶者が居住建物について共有持分を有する場合は、居住建物の所有者は、配偶者居住権が消滅したことを理由としては、居住建物の返還を求めることができない。
※ 配偶者居住権が消滅したとしても 共有持分を有する場合には その共有持分に基づ
いて居住建物を占有できる(この場合の処理は 一般の共有の法理論に依ることになる)
ので 居住建物の所有者は配偶者居住権が消滅したことを理由としては居住建物の返還
を求めることができないということになる
2 第五百九十九条第一項及び第二項並びに第六百二十一条の規定は、前項本文の規定により配偶者が相続の開始後に附属させた物がある居住建物又は相続の開始後に生じた損傷がある居住建物の返還をする場合について準用する。
(使用貸借及び賃貸借の規定の準用)
第千三十六条 第五百九十七条第一項及び第三項、第六百条、第六百十三条並びに第六百十六条の二の規定は、配偶者居住権について準用する。
第二節 配偶者短期居住権
※ 配偶者居住権と異なり 対抗要件制度を設けることとはしていないので
居住建物取得者がその居住建物の所有権又は共有持分を第三者に譲渡し
た場合には 配偶者は 配偶者短期居住権をその譲受人に対抗すること
ができない(配偶者短期居住権は 第三者に対抗することができない)
(配偶者短期居住権)
第千三十七条 配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた場合には、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める日までの間、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の所有権を相続又は遺贈により取得した者(以下この節において「居住建物取得者」という。)に対し、居住建物について無償で使用する権利(居住建物の一部のみを無償で使用していた場合にあっては、その部分について無償で使用する権利。以下この節において「配偶者短期居住権」という。)を有する。ただし、配偶者が、相続開始の時において居住建物に係る配偶者居住権を取得したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し若しくは廃除によってその相続権を失ったときは、この限りでない。 ※ 配偶者に居住建物の使用権限のみを認める(収益権限は認めない・1028条との差異)
一 居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合
遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から六箇月を経過する日のいずれか
遅い日
二 前号に掲げる場合以外の場合 第三項の申入れの日から六箇月を経過する日
※ 配偶者が相続放棄等をした場合
2 前項本文の場合においては、居住建物取得者は、第三者に対する居住建物の譲渡その他の方法により配偶者の居住建物の使用を妨げてはならない。
※ この義務に違反し 第三者に売却などして配偶者の居住建物の使用を妨げた
居住建物取得者は 配偶者に対し債務不履行責任を負う(対抗力は持てない
権利だけれど 賠償請求は可能 ということ)
3 居住建物取得者は、第一項第一号に掲げる場合を除くほか、いつでも配偶者短期居住権の消滅の申入れをすることができる。
(配偶者による使用)
第千三十八条 配偶者(配偶者短期居住権を有する配偶者に限る。以下この節において同じ。)は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用をしなければならない。
2 配偶者は、居住建物取得者の承諾を得なければ、第三者に居住建物の使用をさせることができない。
3 配偶者が前二項の規定に違反したときは、居住建物取得者は、当該配偶者に対する意思表示によって配偶者短期居住権を消滅させることができる。
※ 1032条4項の場合とは 消滅までの流れが異なっている
(配偶者居住権の取得による配偶者短期居住権の消滅)
第千三十九条 配偶者が居住建物に係る配偶者居住権を取得したときは、配偶者短期居住権は、消滅する。
(居住建物の返還等)
第千四十条 配偶者は、前条に規定する場合を除き、配偶者短期居住権が消滅したときは、居住建物の返還をしなければならない。ただし、配偶者が居住建物について共有持分を有する場合は、居住建物取得者は、配偶者短期居住権が消滅したことを理由としては、居住建物の返還を求めることができない。
※ 上記 1035条の場合と同様のことが述べられている
配偶者が居住建物について共有持分を有する場合というのは 被相続人の相続開始前から
固有の共有持分を持っていた場合と 相続や遺贈等によって被相続人の所有権の一部を承
継した場合だろうが その場合配偶者は共有持分に基づく占有権原を有するから ただし
書きのことがいえることとなる
2 第五百九十九条第一項及び第二項並びに第六百二十一条の規定は、前項本文の規定により配偶者が相続の開始後に附属させた物がある居住建物又は相続の開始後に生じた損傷がある居住建物の返還をする場合について準用する。
(賃借人の原状回復義務)
第六百二十一条 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって
生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合におい
て、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責め
に帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
(使用貸借等の規定の準用)
第千四十一条 第五百九十七条第三項、第六百条、第六百十六条の二、第千三十二条第二項、第千三十三条及び第千三十四条の規定は、配偶者短期居住権について準用する。
(期間満了等による使用貸借の終了)
第五百九十七条
3 使用貸借は、借主の死亡によって終了する。
(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)
第六百条 契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償
還は、貸主が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない。
2 前項の損害賠償の請求権については、貸主が返還を受けた時から一年を経過するまでの間は、時
効は、完成しない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・