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おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

変化を知らなかったでは・・スマサレヌことも

2025-03-28 | ◆ 国家試験受験サポート 〔 全 般 〕

 

本日の オリジナル問題学習です

 

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以下の各肢民法条文につき、令和7年3月28日における現行のものか否かを答えなさい。

1. (代理人の行為能力)
    第102条
   代理人は、行為能力者であることを要しない。

 

2. (時効の援用)  
    第145条
   時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。

 

3. (共有物の変更)
    第251条 
   各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。

 

4. (損害賠償の範囲)
    第416条 
   債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさ
   せることをその目的とする。
 2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見する
   ことができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。

 

5. (賠償額の予定)
   第420条 
   当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。
   この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。
 2 賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。
 3 違約金は、賠償額の予定と推定する。

 

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肢1~5、すべて改正前条文であり、現行のものではありません。

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. 改正されています。

(代理人の行為能力)
第102条 
制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。
ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、この限
りでない。

     法定代理人の代理行為については、代理人の制限行為能力を理由として取消しが
      認められる(取消が認められないとしてしまうと、本人の保護という行為能力制
      度の目的が達せられないことになってしまうことなどのために改正されている)。

 

. 改正されています。

 (時効の援用)
第145条 
時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の
消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによっ
て裁判をすることができない。

              とりわけ消滅時効の援用権者である「当事者」に一定の第三者
               が含まれることが明らかにされている。



. 改正されています。

(共有物の変更)
第251条 
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を
伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
2 共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判
所は、共有者の請求により、当該他の共有者以外の他の共有者の同意を得て共有物に変更を加え
ることができる旨の裁判をすることができる。



. 改正されています。

(損害賠償の範囲)
第416条 
債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることを
その目的とする。
2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、
債権者は、その賠償を請求することができる。



. 改正されています。

 (賠償額の予定)
第420条 
当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。
2 賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。
3 違約金は、賠償額の予定と推定する。

       旧1項後段は削除されている。
        「・・・裁判所は、その額を増減することができない」
        となっていたが、公序良俗違反等を理由とする減額は従来から認められてきて
        いた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

改正施行の条文の、ほんの一部ですが、いかがでしたか。

重要なものが、マダマダありますが、本日は以上です。

 

 

今、事務所内は、22度。暖かです。

もっとも、明日からは、まだ最高気温15度以下が続きそうな当地ですが。

みなさまのところは、いかがな春の雰囲気ですか。

私の第二の故郷北の地に暮らす友のところには、春は、マダマダ近寄ってくれま

せん。

道南 登別・室蘭ですが、最高5度、最低マイナス1度、の三月末日を迎えそう

だと言っています。

 

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         はたけやまとくお法務事務所・マンション管理事務所  


現行のものを確認

2025-03-24 | ◆ 国家試験受験サポート 〔 全 般 〕

 

学習に励んでも、現行の条文に基づいてのものでなくては、意味がない とい

うか 害になる ということもあります。

自身の基本書・条文集など、現行のものであるかどうか、念のため、確認しつ

つ進める必要があります(当然のことですが、自身の過去の規準のままでの知識

解釈では、受験にも、実務にも多大な支障をきたしてしまいます)。

最近あつらえた基本書なので心配はない、という理解をなさっている方もおられ

ますが、その購入後に改正施行があった(サマザマな改正が連続して一時に、で

はなく、不連続な改正施行が行われたということもあるので)、という場合もあ

り得るのです。

もちろん、過去の条文に基づく必要の実務などもありますが、現行条文に疎くて

は話になりません(自身への、おおいなる戒めでもあります)。

(余計なお世話っぽく 笑われそうです・・が・・あえて、記させていただきま

した)

 

さて、本日の、オリジナル問題学習です。

2問あります。

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民法の以下条文のうち、平成29法44によっては改正が無かったものは、どれか。

1. (心裡留保)   93条

2. (虚偽表示)   94条

3. (錯  誤)   95条

4. (詐欺又は強迫) 96条

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正解 2

 

第二節 意思表示

(心裡留保)
第九十三条 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、
そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意では
ないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。
2 前項ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができ
ない。
            ※ 2項が新設された。


(虚偽表示)
第九十四条 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。


(錯誤)
第九十五条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の
目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされてい
ることが表示されていたときに限り、することができる。
3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第
一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
4 第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗するこ
とができない。

               ※ 錯誤の効果を〈取消〉とした。善意で過失がない第三
                 者に対抗できないことが明文化された。
                 (無効)ではなく(取消)となったので、錯誤による
                 取消権は追認をすることができる時から5年で消滅
                 (126条)することなど、改正点が多い。

(詐欺又は強迫)
第九十六条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がそ
の事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意かつ過失がない第三者に
対抗することができない。

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ⅩとYは同郷であり学生時代にも付き合いがあり、互いに金銭の貸し借
りをしていた。

卒業の数年後、Yは地元で、Xは遠方の出向地で暮らし数年行き来がな
かった。そのような折、XはYに金銭貸借につき相殺の通知のメールを
したが、その
当時、Yは交通事故により意識不明状態が続いていたのだ
ったがⅩはそれを知らなかった。

このような状況における場合において、正しい肢はどれか。

1.相殺の意思表示は意思能力のないYに到達していなかったのであるから、
  その後の状況に拘わらず、相殺の意思表示をⅩは対抗できない。

2.後にYが回復した時に、相殺の意思表示が到達したと解釈され相殺の効果
  をXは対抗できることになる。

3.Yが意思能力回復後に当該相殺の意思表示を知った後、相殺の意思表示を
  ⅩはYに対抗できる。

4.相殺は単独行為なので、意思表示が到達したと解されるなら、Yの了知に
  関係なく相殺の意思表示をXはYに対抗できる。

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正解 3

 
改正後の98条の2第2号の明文によって、例外的に意思表示を受領者に対抗

 できるようになることが定められています。

 

(意思表示の受領能力)
第九十八条の二 意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に意思能力を有しなかった
とき又は未成年者若しくは成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手
方に対抗することができない。ただし、次に掲げる者がその意思表示を知った後は、この
限りでない。
一 相手方の法定代理人
 意思能力を回復し、又は行為能力者となった相手方

 

(意思表示の効力発生時期等)
第九十七条 意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる
2 相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、
通常到達すべきであった時に到達したものとみなす。
3 意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、又は行為能力の
制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。





        はたけやまとくお法務事務所・マンション管理事務所        


ピンとこない マッタク反応できない問 

2025-03-02 | ◆ 国家試験受験サポート 〔 全 般 〕

 

学習の伴走者としてお手伝いさせていただいている方への

オリジナル問題の  一部抜粋 です。


 

〈 シンプルな言葉で訊ねてみますので、シンプルに表現してみてください。

  A B C とがいます。
  各会話で登場しているであろう仕組みは、民法上、一般になんと呼ばれているものでしょう。 〉

というような質問を、受験相談者さんにさせていただくことがあります。

率直に言うと、どのぐらい学習している方なのかを知るべき必要もあり得るからです。

上記は、ほんの一部ですが、マッタク反応できない問については、特に、学習して補っておくべき

です(当然のことですが、民法に限らずどの分野も基本書に戻りつつ補いながら)。

 

 

近年の出題は、『このようなことを問うてくるとは・・・想定外すぎた・・ビックリ』というもの

が以前よりは多く 散見されている といえそう です ので・・・同一サイクルの学びだけでは

合格はみえてこないと思われます(過去問題集だけでの学習も間違いとはいえないでしょうが・・
・・疑問点をより新刊の基本書などで補いつつならば)

 


 

   AがBに、『自分が君にもっている債権の給付は、Cに対して履行ください』と
    言った。

   AがBに、『自分が君にもっている債権だけじゃなく、解除する権利などもCに
    移転させたいんだけれど、了承してくれるかい』と言った。

   AがCに、『Bが君にしている借金の支払は、僕がするので、それ以後Bは関り
    がないことにしてくれないか』と言った。

   AがBに、『君がCしている借金の支払は、君だけではなく僕もするよ。』と言
    った。

   AがBに、『君がCしている借金の支払は、君だけに限らずに、僕がしても許さ
    れるのではないかな。』と言った。

   AがBに、『Cとのお金の貸し借りの契約は、自分が君の交替に債務者になって
    消滅させて新しい契約にするつもりだ。』と言った。


 

1 第三者のためにする契約

    (第三者のためにする契約)
     第五百三十七条 契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約
     したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する
   2 前項の契約は、その成立の時に第三者が現に存しない場合又は第三者が特定していな
     い場合であっても、そのためにその効力を妨げられない。
   3 第一項の場合において、第三者の権利は、その第三者が債務者に対して同項の契約の
     利益を享受する意思を表示した時に発生する。

 

2 契約上の地位の移転

    第三款 契約上の地位の移転
     第五百三十九条の二 契約の当事者の一方が第三者との間で契約上の地位を譲渡する
     旨の合意をした場合において、その契約の相手方がその譲渡を承諾したときは、契約
     上の地位は、その第三者に移転する。

      (合意による不動産の賃貸人たる地位の移転)
       第六百五条の三 不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、
       賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させ
       ることができる。この場合においては、前条第三項及び第四項の規定を準用する。

           ※ 539条の2 の 特則と理解されます

 

3  免責的債務引受

       第二款 免責的債務引受
     (免責的債務引受の要件及び効果)
      第四百七十二条 免責的債務引受の引受人は債務者が債権者に対して負担する債務
      と同一の内容の債務を負担し、債務者は自己の債務を免れる
    2 免責的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。
      この場合において、免責的債務引受は、債権者が債務者に対してその契約をした旨
      を通知した時に、その効力を生ずる。
    3 免責的債務引受は、債務者と引受人となる者が契約をし、債権者が引受人となる者
      に対して承諾をすることによってもすることができる。

4  併存的債務引受

        第五節 債務の引受け
      第一款 併存的債務引受
         (併存的債務引受の要件及び効果)
      第四百七十条 併存的債務引受の引受人は、債務者と連帯して、債務者が債権者に
      対して負担する債務と同一の内容の債務を負担する。
    2 併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。
    3 併存的債務引受は、債務者と引受人となる者との契約によってもすることができる
      この場合において、併存的債務引受は、債権者が引受人となる者に対して承諾をし
      た時に、その効力を生ずる。
    4 前項の規定によってする併存的債務引受は、第三者のためにする契約に関する規定
      に従う。

 

5   第三者の弁済

      (第三者の弁済)
      第四百七十四条 債務の弁済は、第三者もすることができる
    2 弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して
      弁済をすることができない。ただし、債務者の意思に反することを債権者が知らな
      かったときは、この限りでない。
    3 前項に規定する第三者は、債権者の意思に反して弁済をすることができない。ただ
      し、その第三者が債務者の委託を受けて弁済をする場合において、そのことを債権
      者が知っていたときは、この限りでない。
    4 前三項の規定は、その債務の性質が第三者の弁済を許さないとき、又は当事者が第
      三者の弁済を禁止し、若しくは制限する旨の意思表示をしたときは、適用しない。

 

6 更 改

       第三款 更改
       (更改)
        第五百十三条 当事者が従前の債務に代えて、新たな債務であって次に掲げる
        ものを発生させる契約をしたときは、従前の債務は、更改によって消滅する
        一 従前の給付の内容について重要な変更をするもの
        二 従前の債務者が第三者と交替するもの
        三 従前の債権者が第三者と交替するもの
       (債務者の交替による更改)
        第五百十四条 債務者の交替による更改は、債権者と更改後に債務者となる者と
        の契約によってすることができる。この場合において、更改は、債権者が更改前
        の債務者に対してその契約をした旨を通知した時に、その効力を生ずる。
      2 債務者の交替による更改後の債務者は、更改前の債務者に対して求償権を取得し
        ない。

 

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        はたけやまとくお法務事務所・マンション管理事務所            


整理困難ならばこそ・・見落としポイントを点検

2025-02-07 | ◆ 国家試験受験サポート 〔 全 般 〕

 

 

『改正から それなりの時が経過しているのに ナントナク 本質を把握できていない

 ような心持なので 学習にも 実務にも 不安感が拭えません・・・

 知識の整理整頓が進まなくて・・・

 特に 〈売買の効力〉あたり が 苦手です』

 

というような 受験生さんの相談があったので その苦手部分とその周辺の学びをしました。

 

「自身の場合は、そのような状況の場合は、マズ、ポイントとなる知識のみを鉾と盾にし

 て 事例 にあたるようにしています。ハッキリと武器として持っている知識がないと、

 必要以上にアーダコーダと半端な理論だけがつみかさなってしまうようなことになりか

 ねないし、事例想定だと、条文知識の粘着力が増して、すこしばかりでも学びの効率が

 改善できそうに思えるものですので。」

 

 

ということで

アットランダムに、ポイントになるであろう事項(多くの受験者さんにおいて、曖昧にしているだろう
と思われる部分)

並べてみました。
                                    ※条文に省力部もアリ

・ 改正後民法では、物の種類・品質に関する契約不適合に関してのみ権利行使期間消滅時効期間
  ではない
)を定めている。

         (目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
          第五百六十六条 
          売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的
          を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内
          にその旨を売主通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行
          の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすること
          ができない。

          ※ 売主を保護すべき場合としては、物の種類、品質に関する契約不適合のみを想定
            すればよいのでは(権利内容に関しての契約不適合 / 物の不適合だが数量不足 
            の場合 は 一般的な消滅時効に服するだけでよい)、と、改正において判断
            された。


 ・ 改正前は、一般的な債務不履行責任と売主の担保責任との関係のことが複雑すぎ、理解の
   仕方も混在していたけれど、改正後は、より明快な規律を示している、といえる。

   いわゆるの瑕疵について、契約に不適合な場合における責任であるとし、契約責任説による
   ことを示して、追完請求権・代金減額請求権の条文を設け、損害賠償解除は契約法の一般規
   定に基づくことを明らかにした(いわゆる権利の瑕疵については物の瑕疵に関する条項
   準用するという手法で処理されている…準用されるので、同様な扱いだ、ということになる)。 

             一般規定
              (債務不履行による損害賠償
               第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務
               の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請
               求することができる。

              (催告による解除
               第五百四十一条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手
               方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないとき
               は、相手方は、契約の解除をすることができる。

              (催告によらない解除
                第五百四十二条 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、
               直ちに契約の解除をすることができる。


        (移転した権利が契約の内容に適合しない場合における売主の担保責任)
        第五百六十五条 
        前三条の規定は、売主が買主に移転した権利が契約の内容に適合しないものである
        場合(権利の一部が他人に属する場合においてその権利の一部を移転しないときを
        含む。)について準用する。

                  

          (買主の追完請求権)
           第五百六十二条 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容
           に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の
           引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、
           売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と
           異なる方法による履行の追完をすることができる。

          (買主の代金減額請求権)
           第五百六十三条 前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を
           定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、
           その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。

          (買主の損害賠償請求及び解除権の行使)
           第五百六十四条 前二条の規定は、第四百十五条の規定による損害賠償の請求並
           びに第五百四十一条及び第五百四十二条の規定による解除権の行使を妨げない。 

           ※ Mが売主Nが買主である場合の建物売買で、その建物が他人の物であったり
             Mの建物であるが借地権付きとの契約であったのが借地権は消滅してしまっ
             ていたりの場合に、NはMに対し、前者の場合で当該他人において手離す意
             思がないなら564条準用での解除(541・542)と損害賠償(415)、
             借地権無しになってしまっている場合なら追完請求(562)代金減額請求
            (563)そして解除・損害賠償を状況により要件に従って行使し得る、とい
             うこと。

 ・ 競売の条項もタイセツです

      (競売における担保責任等)
       第五百六十八条 
       民事執行法その他の法律の規定に基づく競売(以下この条において単に「競売」という。)
       における買受人は、第五百四十一条及び第五百四十二条の規定並びに第五百六十三条(第五
       百六十五条において準用する場合を含む。)の規定により、債務者に対し、契約の解除をし、
       又は代金の減額を請求することができる。

                ※ 競売というものは、債務者の意思とは無関係に行われるので、契約
                  不適合としての債務者の履行の追完ということが無いので、追完
                  ついての規律は競売において無い。  
     
     4 前三項の規定は、競売の目的物の種類又は品質に関する不適合については、適用しない。   

                

 

 

・ 《XY夫婦は、C所有であった土地とその土地上にあるDがCから注文を受けて建てた中古の木造建物
   を購入し、住んでいる。》
  これに関する以下の記述の正誤を答えなさい。

 〔イ〕 引渡しから11年目に建物が傾き始めたのは、基礎工事に重大な瑕疵があったためと判明した。
     この場合、契約内容不適合責任としての損害賠償請求権の消滅時効の起算点については、権利
     行使可能時から10年、権利行使可能であることを知った時から5年である(166条)。

           

 〔ロ〕 〔イ〕において、権利行使可能時である引渡し時から10年以上を経て契約不適合状態になった
      場合や、566条の通知をしなかったために契約責任を追及できない場合は、事案によっては
     不法行為責任に基づいた損害賠償請求の可能性もあり得る。その場合、改正前と同様、時効起算
     点と時効期間は、損害及び加害者を知った時から3年間という規定がある。

         

 

〔ハ〕 仮に、説例の中古建物が地震により倒壊し、その際、建物内に居たYが死亡したとする。倒壊に至
    った原因の調査において、建築施工者による基礎工事の瑕疵が原因と判明したとする。建築施工者
    は、倒壊は地震のせいであるとして責任否定に終始するうちに、Y死亡から4年半が過ぎた、とす
    る。その場合、Ⅹが相続人とすると、Ⅹは当該建築施工者に不法行為責任を追及できる。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・          



 〔イ〕                          正しい

 

          第三節 消滅時効
           (債権等の消滅時効)
            第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
          一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
          二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。


 〔ロ〕                           正しい

           

     (不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
           第七百二十四条 
           不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
         一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
         二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。
                ※ 時の経過によって権利を消滅させる除斥期間ではなく〈時効〉と明
                  言し、判例は変更されている。

             〔判例〕 設計者・施行者・管理者等の義務
               契約関係にない居住者等に対する関係でも、当該建物に建物としての
               基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき注意義務を負う
                      (最判平成19・7・6)
                       不法行為責任の前提となる注意義務に関しての判例

                           

〔ハ〕                                 正しい

            

         (人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
           第七百二十四条の二 
          人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についての前条
          第一号の規定の適用については、同号中「三年間」とあるのは、「五年間」とする。 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

本日の最後に

(人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効)
という、消滅時効についての大事な条文が改正により登場しています

安全配慮義務違反に基づく人身損害の場合などに、問題となります。

  第三節 消滅時効
  (債権等の消滅時効)
  第百六十六条 
  債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
  一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
  二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
  2 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使
    しないときは、時効によって消滅する。

(人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効)
第百六十七条 
人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一項第二号の
規定の適用については、同号中「十年間」とあるのは、「二十年間」とする。 

 

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                                                     はたけやまとくお法務・マンション管理事務所               

 


行政書士試験合格発表日

2025-01-29 | ◆ 国家試験受験サポート 〔 全 般 〕

 

本日、行政書士試験結果等の発表がありました。

 

令和6年度 行政書士試験問題の正解 | 行政書士試験研究センター

summary.pdf

令和6年度 行政書士試験問題の正解 | 行政書士試験研究センター
記述式正解例

 

 

問題44
 

 

 

問題45
  



A
   
(43字)



       
(41字)
 正


 
 
(44字

 

 

以前のブログにも、主に記述式についての感想を述べさせていただいていますが、

    2024年11月24日のブログ記事一覧-おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

正解例における

問題44での 「・・・いずれかの・・・」

問題45での 例3には「先取特権」という文言は登場なし 

の扱い

そのあたりが、どのように採点に影響したのか、自身にはもっともアレコレ考え
させられたことでした。




第八章 先取特権

第一節 総則(第三百三条―第三百五条)
第二節 先取特権の種類
第一款 一般の先取特権(第三百六条―第三百十条)
第二款 動産の先取特権(第三百十一条―第三百二十四条)
第三款 不動産の先取特権(第三百二十五条―第三百二十八条)
第三節 先取特権の順位(第三百二十九条―第三百三十二条)
第四節 先取特権の効力(第三百三十三条―第三百四十一条)


303条から341条 というそれなりの条文数をもって、民法は先取特権を登場
させて

いますが、

一般の先取特権」「動産の先取特権」「不動産の先取特権」という種類の差異の
意味を、意識的に考えてみたことがあったか否かあたりが、決め手になった・・・
ような感想を持ちました。なんのための三分類なのだろうか、という疑問を覚えた
ことがあったか否か、
という自身も、民法の学びを始めてからそうとうな期間を過ぎてから、そのあたり
のことへの??マークが、ヤットコサコジンワリと付いたりしたことを思い出し、
笑します。

なにごとも、基本が大事、と痛感するのですが、その基本というものは・・タイセ
ツなポイントにより早く気付けるための必須知識・思考力の群、ということなのか

・・・

 



 

合格の方、おめでとうございます。

力及ばずだった方、その差数点はたしかに重いものでしょうが、挑戦する気が残っ
てさえいるなら、削りとれる差であろう、と、思うのです。     




                 はたけやまとくお法務・マンション管理事務所  

                  


すさまじい変化

2025-01-09 | ◆ 国家試験受験サポート 〔 全 般 〕

 

 

『マンション管理士試験・管理業務主任者試験についての、改正の激しさ(特に民法)、

国家試験へのその反映のスプードアップによる登場のこと、などの記事が近頃多いですが

肝心の、その内容面などについて等は、ブログに登場しているのでしょうか ?』

という類の質問 というか 意見を、 ブログをたずねてきてくれた方からいただくこと

もトキドキあるのですが・・・

例えば、次のページなどを 眺めてみてください。

 

実務にも直結の改正の連続 - おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

 

自身などにとっては、その、すさまじいばかりの改正の様相には、唖然とする!! ばか

り です。

 

しかし、実際に、世の法制において、どうしても必要とする措置ではあるだろうな、という

思いはあることは確かで、抗えないだろうことではあるので、一介の実務者である自身は、

ナントカカントカであろうとも、くらいついていくしか途はない、という感の日々です。


資格試験受験生の方に向かっての、とてつもない改正の嵐が吹き続いています(特に民法)

が、現実に、施行後即出題もされていたりするので、とにもかくにも学習の一環として多少

なりであっても継続しつつつきあっていかねばならないと思います。

ツライことでしょうが、挑む心をゼロにしてしまうことだけは避けなければならないと思い

ます(当然のことですが、実務者の端くれとして、自身も、細切れながら知識の積み重ねを

怠ること無きよう努めてはいる、つもりです

(仕事がら避けることのできない道という意もあります・・法令系実務の基本は、おおよそ

の分野で、やはり民法がリーダーでしょう)。

 

ということで、参照できそうなものは、おおいに利用して、なんとしても学び続けましょう

(受験心が持続する限り・・・出題範囲への学び時間配分を慎重に検討しつつ)。

 

施策の見直し、新しい課題の微増というか もはや増大必至、実効性のより徹底化追究、

国として、必要措置をすべき分野のランクを設け、処置優先度合いに比例して、それなりの

広報を、折にふれ、遂行継続している感がうかがえます。

そうしたものをインターネット上で見つけると、ナカナカ便利・有効、という面もあるよう

に思えますので、ご検討を( IT知識ゼロという場合の方策、情報格差という問題も大きな

とですが)。

登場する広報の概括だけでも触れておくと、多少とも、学びの意欲の支えになることもある

ように思えます。

受験者の方たちの利用する基本書には、なかなか適時の知識搭載はサホド無いように思えま

すし、塾など利用の方にしても、概論だけでの講義レベル・限られての聴講タイムなどであ

るとすると、ナントモ心細いような面もあるように思われますし、つまるところは、基本知

識をなんとか醸成しつつ、結局は、自分自身による条文との格闘による理解にたどり着くと

いうあたりが常道として採り得る手法では、と、自身などには思われるのです が・・・

当然のことでしょうが、いかに格闘の相手との手合せの経験を尽くし得たかが、決め手、と

いうことかな、と。

001401146.pdf

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ということですが、

本年も、どうぞよろしく、ブログでのお付き合いも、お願いいたします。

 

 

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                                             はたけやまとくお法務事務所
                       ・マンション管理士事務所

 


参考になればよいのですが・・・

2024-12-23 | ◆ 国家試験受験サポート 〔 全 般 〕

おおよその国家試験が終了しているといえるでしょう。

再学習をスタートしている方も多い時季になりましたでしょうか?

 

さて、次の条文は、特に不動産関連試験の受験者さんから、

本試験後も、質問が多い条文です。

 

今年度の〈管理業務主任者試験〉の問一 についての質問が続いているので、以下に参照すべきことの
概略を記しておきます。

一番多い質問は、全部 とか 持分 とか、どのような場面を想定してのことなのか、混乱してしま
っていて、試験講評をなさる方や塾講師さんの説明も、そのあたりのことがアイマイ?で・・・』
というあたりですので、そのあたりがハッキリしない方は、例となるような具体的場面を想起しながら、
よければ、参考にしてみてください。

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第二百五十八条の二 
共有物の全部又はその持分相続財産に属する場合において、共同相続人間で当該共有物の全部又は
その持分について遺産の分割をすべきときは、当該共有物又はその持分について前条の規定による分
割をすることができない

2 共有物の持分相続財産に属する場合において、相続開始の時から十年を経過したときは、前項
の規定にかかわらず、相続財産に属する共有物の持分について前条の規定による分割をすることがで
きる。ただし、当該共有物の持分について遺産の分割の請求があった場合において、相続人が当該共
有物の持分について同条の規定による分割をすることに異議の申出をしたときは、この限りでない

3 相続人が前項ただし書の申出をする場合には、当該申出は、当該相続人が前条第一項の規定によ
る請求を受けた裁判所から当該請求があった旨の通知を受けた日から二箇月以内に当該裁判所にしな
ければならない。

//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

 

 

 

共有者の1人が亡くなり、当該共有持分権を複数の相続人(共同相続人)が承継すると、被相続人が
有していた共有持分権をさらに共有(複数人で所有)するということになる。
物権共有の中に遺産共有が含まれている状態となる。

一般的な共有=物権共有であった  その後、共有者の1名に相続が生じた  物権共有と
遺産共有の両方が含まれる状態になる

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
《例》

共有者=A・B・C
Cが死亡した(Cの相続人C1・C2・C3

共有者=   A ・ B ・ C1・C2・C3
遺産共有と物権共有が混在している(相続人以外の共有者もいるのだ、ということ)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

全体遺産共有であるとはいえない状態なので、分割手続として遺産分割を使えない。
消去法的に共有物分割の手続を用いることになる。
共同相続人(相続人グループ)の有する持分遺産共有なので、遺産分割によって分割
することになる。具体的には、共有物分割の中で、共同相続人全体が得た財産を、改め
て(次の手続として)遺産分割によって分割する、ということになる。

 

(1項とは違って2項では)条文上「持分が」(相続財産に属する)という文言になっ
ている
「共有物の全部(が)」は除外されている
遺産共有物権共有が  混在している  ことを意味している

 

民法258条の2のメインは2項〔原則(改正前の判例)に対する例外を新たに作った条文〕。
例外とは、共有物分割訴訟の中で遺産共有の解消をする(できる)という処理のこと。

例として、
AB共有の甲土地があり、Aが亡くなった。その結果、Aの相続人A1A2とBの共有となるが、
このうちA1A2」の持分は遺産共有(分割未了)となっている。
相続から10年経過後に、A1が甲土地について共有物分割の訴訟の提起をした。
A2の立場で考えてみると、地裁から訴状の送達があって初めて訴訟が提起されたことを知る。
この場面で2つの選択肢が想定される。
まず、そのまま、甲土地についての共有物分割を進めるという選択肢。この場合は特別な手続
をすることはない。通常の共有物分割として、分割方法の希望を答弁書として裁判所に提出す
ることになる。
もう1つは、他の遺産(たとえば乙土地や預貯金、金融資産)を含めた遺産分割の調停(また
は審判)を家裁に申し立てて、地裁の共有物分割について異議を出すというもの。
異議を出した場合は、例外は発動することなく、原則(改正前と同じ)の扱いになる。
具体的には、共有物分割の中ではA1・A2持分の解消はできず、遺産分割の中で甲土地のA持分
(A1・A2持分)も含めて分割することになる。

異議を出しても(出さなくても)、共有物分割訴訟が却下や棄却になって終了する、というわ
けではなく、2つの分割手続が同時に進行する(並走する)ことになる。
(詳細を知りたい方は、専門書・インターネットなどにある参照すべきもの、などで充たして
 ください)。




〈参考・・・とばしてもよいのですが、知識欲がありそうなら読んでみてください〉

例外が発動した状況、は2つに分けられます。共有物分割訴訟だけが進行する(単独進行)の状況と、
共有物分割訴訟と遺産分割調停(か審判)が並走する状況です。並走するとは、被告が異議を出せる
のに意図的に出さないという状況です。
この例外発動、かつ、2つの分割手続並走の状況では、遺産共有の持分については、どちらの手続で
も解消できる、ということ〔当然ですが、一方の手続で解消した場合は(すでに共有ではなくなった
ので)他方の手続で解消することはできませんが〕。
先ほどの具体例でいえば、A1・A2は異議を出していない状況です。相続人全員(A1・A2)が、甲土
地のA1・A2持分共有物分割訴訟で解消したいと考えているといえる場合。そうだとすると、遺産
分割(家裁)としては、甲土地のA1・A2持分の共有解消は共有物分割訴訟(地裁)に委ねる(それ
以外の遺産だけを分割する)ことが想定される。
さらに、共有物分割訴訟の原告A1自身が、例外発動を望まない(甲土地のA1・A2持分は共有物分割
訴訟では分割せず、並走している遺産分割手続の中で解消したい)と表明している時は、共有物分割
訴訟の裁判所(地裁)は希望どおりにA1・A2持分は共有を残存させるのが妥当と考えられよう。


 

                 シンプルなメモ
令和3年改正で新たに作られた民法258条の2の第1項には、原則が規定されている。原則の中身は、
共有物分割遺産共有の解消をすることはできないというもので、昭和62年最判が示した解釈。
1項は、改正前の扱いと同じ。
2項で例外を定めることになったので、前提として原則を示した

民法258条の2において主要なのは2項です。原則(改正前の判例)に対する例外を新たに作った条文。
例外とは共有物分割訴訟の中で遺産共有の解消をする(できる)という処理のこと。
例外が発動する要件は3つにまとめることができる。3つのうち1つでも当てはまらない場合には、例外
は発動しない(原則どおりになる)。原則どおり、とは、共有物分割訴訟の申立ができない、という意味
ではありませんが。
(詳細を知りたい方は、専門書・インターネットなどにある参照すべきもの、などで充たしてください)。


例外の適用(遺産共有の解消を認める)の要件の整理

遺産共有と物権共有の混在

繰り返しになりますが、

(1項とは違って2項では)条文上「持分が」(相続財産に属する)という文言になっている
「共有物の全部(が)」は除外されている
遺産共有と物権共有が混在していることを意味している

・相続から10年後の提訴

相続開始から10年を経過した後に共有物分割訴訟の申立がなされた

・共有者による異議がない

共有者(被告)が異議を出した場合には例外(遺産共有の解消を認める)は適用されない
異議を出すには、遺産分割調停・審判の申立が必要。

 

 

〔共有物分割訴訟の提起が相続から10年後であれば例外発動となる。この時点で、遺産
分割の手続が進行中(2つの分割手続の並走)というケースもあれば、進行中ではない(共有
物分割訴訟のみ単独進行)ケースもあります。〕
(詳細を知りたい方は、専門書・インターネットなどにある参照すべきもの、などで充たしてください)。



ところで、
遺産分割では、令和3年改正後は、相続から10年後には特別受益と寄与分を無視することに
なりました(民法904条の3)。逆にいえば、相続から10年以内は特別受益と寄与分の適用を保障す
るということ。
ここで、遺産共有を共有物分割で解消する手続(例外発動)では、特別受益と寄与分を無視することにな
ります(民法898条2項、前述)。
そこで
相続から10年以内では例外発動を認めない、という設計になっている




〈参考・・・とばしてもよいのですが、知識欲がありそうなら読んでみてください〉

遺産共有に共有の規定を適用する場合の共有持分割合のルールは、民法898条2項として新設されました。
条文には、900条から902条までの規定により算定した相続分(を適用する)と記述されています。
民法900〜902条には、法定相続分と遺言による指定相続分が規定されておりこの2つが適用されると
いうことになる。
民法903条と904条の2には、特別受益と寄与分が規定されていますが。

令和3年改正で、遺産分割の手続では、「相続開始から10年経過後」の場合だけ、(原則として)特別受益
と寄与分を反映させない
扱いとなる。(民法904条の3)




  (期間経過後の遺産の分割における相続分)
第九百四条の三 
前三条の規定は、相続開始の時から十年を経過した後にする遺産の分割については、適用しない。ただし、

次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
一 相続開始の時から十年を経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。
二 相続開始の時から始まる十年の期間の満了前六箇月以内の間に、遺産の分割を請求することができない
やむを得ない事由が相続人にあった場合において、その事由が消滅した時から六箇月を経過する前に、当該
相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。

(特別受益者の相続分)第九百三条  ・  第九百四条   
(寄与分)第九百四条の二
共有の規定の適用の場面では、この「10年制限」はなく、相続開始直後でも特別受益と寄与分を反映させ

ない扱いが発動することになる。




令和3年改正で新設されたルールをまとめると、遺産共有に共有の規定を適用する場面では、原則として
法定相続分を使い、遺言で相続分が指定されている場合には、その割合(指定相続分)を使う、というこ
とになる。

令和3年改正の前でも後でも、2つの分割手続(遺産分割と共有物分割)が同時に進行する(並走する)
ことは生じます。この場合には、連携することになる。
(詳細を知りたい方は、専門書・インターネットなどにある参照すべきもの、などで充たしてください)。


以上で説明してきた「例外発動」の中身を再確認すると、共有物分割訴訟の中で遺産共有の解消ができる
というものです。条文上「できる」という表現になっています。「しなくてはならない」という表現では
ありません。
裁判所の裁量であり、具体的には、例外発動のケースでも、裁判所は原則どおりに遺産共有は解消しない
(共有の状態で残す)ということも可能。
法改正とは関係なく、もともと、共有物分割訴訟で裁判所が一部の共有を残存させることは可能
(もちろんそれが妥当である状況は限られているけれど)。

異議を出すには、遺産分割調停・審判の申立が必要。

(詳細を知りたい方は、専門書・インターネットなどにある参照すべきもの、などで充たしてくださる
ようおねがいいたします。)

 

 

〈参考・・・とばしてもよいのですが、知識欲がありそうならマトメとして読んでみてください〉
判例は、遺産相続により相続人の共有となった財産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、
又は協議をすることができないときは、「家庭裁判所が審判によってこれを定めるべきものであり、通常
裁判所が判決手続で判定すべきものではない」としていた(最高裁昭和62・9・4)。
共有物について遺産共有持分と他の共有持分とが併存する場合においては、遺産共有持分権者を含む共有
権者
が遺産共有持分と他の共有持分との間の共有関係の解消を求める方法として裁判上採るべき手続は

258条に基づく共有物分割訴訟であり、さらに、共有物分割の判決によって遺産共有持分権者に分与
された財産は遺産分割の対象になるとし、この財産の共有関係の解消について907条に基づく遺産分割
によらなければならない、としていた
                      (最高裁平成25・11・29)。   
けれども、事案によっては、共有物分割の中で、相続人間の分割を実施した方が、共有物に関する帰属が
迅速に定まり、相続人にとっても便宜であるケースもあると考えられる。
改正法は、原則として、上記判例法理に従い、遺産共有の解消は遺産分割の手続によらなければならない
としつつ(本条1項)、例外的に、相続開始時から10年を経過したときは、裁判所は相続財産に属する共有
物の持分について258条の規定による共有物分割をすることができると規定している(本条2項本文)。
ただし、相続人の遺産分割上の権利も考慮し、相続人が異議の申出をした場合には、共有物分割による処理
によることはできないものとしている(本条2項ただし書)。


本条2項本文に基づき、共有物分割請求訴訟の中で相続人間の分割もすることを前提に審理が進められてい
た場合に、たとえば弁論の終結間際に相続人から異議の申出がされると、それまでの審理が無駄となってし
まう事態も考えられる。
そのような事態を防止するということから、相続人が異議の申出をすることができる期間は、共有物分割請
求を受けた裁判所から当該請求があった旨の通知を受けた日から2箇月以内とされている(本条3項)。



 

相続の相談はサマザマな事柄が絡むことがあります
繰り返しになりますが、実務上でも重要なこと、なので・・・

遺産分割では、令和3年改正後は、相続から10年後には特別受益と寄与分を無視することになりました
(民法904条の3)。逆にいえば、相続から10年以内は特別受益と寄与分の適用を保障するということ。
遺産共有を共有物分割で解消する手続(例外発動)では、特別受益と寄与分を無視することになる
(民法898条2項)。そこで相続から10年以内では例外発動を認めない、という設計になっている。

(共同相続の効力)
第八百九十八条 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。
2 相続財産について共有に関する規定を適用するときは、第九百条から第九百二条までの規定により算定
した相続分
をもって各相続人の共有持分とする。

        ※ (特別受益者の相続分)第九百三条  ・  第九百四条   
          (寄与分)第九百四条の二

 



                                   
                                      

                                  はたけやまとくお事務所


本番の日に 雑感

2024-11-24 | ◆ 国家試験受験サポート 〔 全 般 〕

 

 

試験場では 〈マンション管理士試験〉受験者さんが 熱闘の
最中でしたね

 

 

今 事務所で 自身は 〔行政書士試験〕のことを 思ってみてい
るのです

本年度の 〈行政書士試験記述式問題〉と対面した時

自身の受験学習時の体験など思い出しながら浮かんだ語句は・・

 

 

※ 行政訴訟を起こすとして 一つの途しか求め得ないのかな?
  当事者の面でも 一人のみを相手にできる ということなのか
  な? 競願者がいる場合には二つの取消を一緒に なのかな? 
  そんなことを主に記すべき出題なのだろうか・・
  いや、裁決主義 だとか 訴訟の手法の選択 だとか ある意
  味 行政不服前置主義 ? いや それは関係ないか?・・第
  三者効とか拘束力も絡むような・・・ 電波法か・・いかにも
  難問 そのもの なのかな ? 判例があったのは理解してい
  るが まさか 競願事例のことなので どちらかの取消訴訟を
  提起すれば可だというような? そんなアッサリしたことだけ
  を記載させるための出題だ と は 思えないし・・なんだか
  ゴチャゴチャしてきてしまったな・・??

※ 条文の文言だけでは わかったようなわからないような こと
  だったけれど 実務相談を受けたような場合を想定して考えて
  代金を獲得したい場合 実際の行動を自分ならどのように進め
  ることになるだろうな・・・
  ワザワザ裁判を起こして それから強制執行 しなくても済む
  手段が あったような・・・そうだ・・それこそ 先取特権を
  利用しない手はないということだな・・・とすると 不動産で
  はなくて動産の売買での代金債権のこと なのだから・・動産
  の売買での先取特権の場面なのだから・・・

 

※ 転用 という言葉が基本書などに登場するが どこがどう違う
  から 転用 などという語句が付いてしまう債権者代位権なの
  だったろうか・・・とにかく債務者の返済原資を減らさないよ
  うにするための本来の意味の仕組みではなくて という意味で 
  転用?・・・なんのために 転用などということが考えられた
  のだったかな?

 


問題44 総務大臣Yは、新たなテレビ放送局の開設を目的として、電波法に基づく
無線局開設免許を 1 社のみに付与することを表明した。これを受けて、テレビ放送
局を開設しようとする会社XがYに開設免許の申請をしたところ、Yは、その他の
競願者の申請を含めて審査を実施し、会社Aに対しては免許を付与する処分(免許
処分)をし、Xに対しては申請を棄却する処分(拒否処分)をした。
これに対し、Xは取消訴訟を提起して裁判上の救済を求めたいと考えている。競
願関係をめぐる最高裁判所の判例の考え方に照らし、Xは誰を被告として、どのよ
うな処分に対する取消訴訟を提起できるか。なお、現行の電波法は、審査請求前置
や裁決主義の規定を置いているが、それらは度外視して、直接に処分取消訴訟がで
きるものとして考え、40 字程度で記述しなさい。

 


問題45 Aは、海外からコーヒー豆を輸入して国内の卸売業者に販売する事業を
営んでいる。Aは、卸売業者Bにコーヒー豆 1 トン(以下「甲」という。)を販売
し、甲は、B所有の倉庫内に第三者に転売されることなくそのまま保管されている。
Aは、Bに対し、甲の売買代金について、その支払期限経過後、支払って欲しい旨
を伝えたが、Bは、経営不振を理由に、いまだAに支払っていない。BにはA以外
にも一般債権者がいる。この場合に、Aは、甲についていかなる権利に基づき、ど
のような形で売買代金を確保することができるか。民法の規定に照らし、40 字程度
で記述しなさい。

 

問題46 Aは、Bとの間で、BがCから購入した甲土地(以下「甲」という。)を
買い受ける契約を締結し、Bに対して代金全額を支払ったが、甲の登記名義はいま
だCのままである。BC間の売買において、CがBへの移転登記を拒む理由は存在
せず、また、BがCに対して移転登記手続をすべきことを請求している事実もない。
一方、Aは、早期に甲の所有権取得の対抗要件として登記を具備したい。
このような場合、Aは、何のために、誰の誰に対するいかなる権利を、どのように
行使できるか。40 字程度で記述しなさい。


自身の感想 ですが

問44 では 判例集などには まず 掲載されている判例に基づいての出題と思われ
ますが、この判旨がボンヤリとでも浮かんだ受験生の方にとっては、むしろ、その知識
が もしかすると仇となってしまったのでは・・そんなふうに思われてなりません。
知識があったばかりに、記すべきことが「そんなような程度のことで いいはずがない」
というように もしかすると 思えてしまって・・・

審査請求前置や裁決主義の規定を置いているが、それらは度外視して、直接に処分取消
訴訟ができるものとして・・・といっても、現行法上の規定を度外視して? ずいぶん
と乱暴な??出題であることよ・・・度外視して、とは言っても・・・では、何を問う
ているのだろうかな・・・(判例熟知のような方は、サマザマなんともいえないボンヤ
リ不安感に悩まされたのでは、と思えてなりません)。

問45 については、評価が おおいに分かれる出題だと思われます。
条文の文言を、実務に沿って考えてみることができるか否かを、問うているのかな?と
いうような意図があったのだろうか・・・条文の解釈をシッカリなさっていた方にとっ
ては、さほどアタフタしなくて済んだのでしょうが・・・
ある意味、メダタナイ論点というか条文理解を、不意に、問われることになった場合の
対応を試している・・・ような・・・出題の場面のような場合こそが、先取特権の出番
なのだ、と、気付けるか否かこそを、問うているのか・・・??

 

問46 については、登記制度の知識をある程度お持ちの受験生などにとっては、それ
ほどドキッとせずに〔登記請求権を保全〕などという感覚が浮かんだのでは・・・
それと、民法の改正での423条の7見出し部などにも触れていた方などにとっては、
アッ あれのことか となったことでしょうね・・・

 

 

ということで、サマザマな解釈・感想があり得るような、本年度記述式。

総体から判断すると、つまるところ、重箱の隅を楊枝でほじくる ような 
少なからず 意地悪そうな出題ではないのか?
と 感じる方

ある意味 地味な部分にも焦点をむけてくれた出題であり、努力の甲斐が
あった
と 感じる方

自身は やや 前者の感想を持たざるを得ませんでした
特に 問44についてですけれど・・・

 


 

 

さて 15時が過ぎました。

本年度 《マンション管理士試験》 終了 ですね。

 

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                     はたけやまとくお の 守備範囲         


真実のところは?

2024-10-07 | ◆ 国家試験受験サポート 〔 全 般 〕

 

クラス会があり 北陸に行ってきました

風雨中の 徒歩での観光巡りなども経験し マダマダ動ける ? と 体力を

確認しつつ ? 帰ってきました

 

 

 

さて

サッソク 受験者さんとの懇談があり イロイロ 悩みなどを伺ったりしました

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一度目の受験で 合格〕

6ヶ月 で 合格〕

 

一度目 とはいっても サマザマです

法学大学院卒で 初受験
2年間独習し  初受験
5年間学び   満を持しての 初受験
法学というものに出会って 諸事情があって 完全独習10年後の初受験
ソレゾレの 一度目の受験   
というものがあります 



6ヶ月 とはいっても これも サマザマ

アルバイトは必須という情況での                 6ヶ月
生業を持ちながらの ホボ独学の                 6ヶ月
院卒で しかも いつでも学習できるという環境の         6ヶ月
法学系大学卒後受験塾済後の                   6ヶ月

 


イロイロあるでしょうが 自身の学習環境のなかでのベストを尽くして学ぶ

どのような一度目 なのか どのような6ヶ月なのか ハッキリシナイこと
と自身の情況や力を比較して 落ち込むことなど 悲しすぎます

一部の受験塾の宣伝文句 等 に いたずらにまどわされるようなことなく
今日も my  way
 

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                                                      よろしくお願いいたします  

 

 


主たる改正は債権 ということでもなく 家族法も重要部多し

2024-09-16 | ◆ 国家試験受験サポート 〔 全 般 〕


暦には 3連休も多いですが 受験者の方の学習には お休みは ホボ関係ないこと
でしょうね
休日こそ学習タイムそのもの ですものね

 

特に 「マンション管理士」受験生の方にとっては 〈身分法・相続法のような知識が
マンション管理運営に関して必要となる知識なのだろうか?たしかに民法の範囲のこと
であるが このようなことまでマンション管理士の資格取得のための試験問題とする意
義があるのだろうか?〉という疑問を持ったことがあるのでは・・・と思ったりします
ですが 広くとらえると 組合員に関するの身分法のことも管理運営上の知識として必
要になることが実務上あるし 実際 出題が広範囲であることは確かなので 過去には
なかったようなことが登場したとしても さらに 内容もレベルアップされようとも
べストを尽くすしかないでしょう

国家試験一般において 親族・相続法関係の出題率と範囲が増えている感があり・・・
以前は 一定の国家試験には特に 親族法はホトンド出題無しという時期がそうとう長
期にわたってあったようなことでしたが・・・

改正ラッシュということでは 特に相続法においても そうとうな分量です
実務においては 自身などは マダマダ未整理もいいところが 多くあって
未だ というか 先々力不足を痛感すること多しの日常だろうなー という
思いを拭えないままいます(プロとして恥ずかしいですが・・・)

 

 

自身の実務において 「遺言書作成」 に関しての業務が トキドキ あります

遺言で 〈遺言執行者〉に就任することの依頼も ときに あります

〔遺言執行者というのは どんなことを担当するのですか ?〕という質問が多

いのですが 遺言の内容を実現する職務を遂行します

実務においては 〈遺言執行者〉 に関しての相談は さほど珍しいことではな

いレベルの事項です

〈遺言執行者〉についての改正も サマザマ ありますね

 

 

遺言執行者の権限が規定されています

(遺言執行者の権利義務)
  第千十二条 
  遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な
  一切の
行為をする権利義務を有する

 

 

さて

本日の 各種国家試験受験用オリジナル学習問題 



 下記のような状況における各肢の問に答えなさい。

          記
被相続人  
相続人   子  ・子 
Xの遺言 ① 「 土地をに相続させる 」
     ② 「 土地をに遺贈する 」
     ③ 「 を遺言執行者と指定する 」

1 ①に従った所有権移転登記がなされる前に、が自己の法定相続分である
   土地持分2分の1をに譲渡して登記を経由した場合、に所有
   権取得を対抗できるか(遺言執行者がいることを、は知っていた)。

2 ②に従った所有権移転登記がなされる前に、が自己の法定相続分である
   土地持分2分の1をに譲渡して登記を経由した場合、に所有
   権持分取得を対抗できるか(遺言執行者がいることをは知らなかった)。

3 肢2の場合、仮にへの当該登記が経由されていなかった場合は、対抗関
  係はどうなるか。



 

1 について

 は遺言執行者のいることを知っていたので、善意の第三者ではなくの行為が有効なものと
 して取り扱われないので無効でありその相手方は譲渡を受けていない無権利者なので対抗関
 係にたたないのであり、に対し、仮に登記がないとしても、所有権取得を対抗できる。

 〔第三者とは(相続人がした処分行為の相手方)本肢では

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 (遺言の執行の妨害行為の禁止)
  第千十三条 
  遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為
  をする
ことができない。

2 前項の規定に違反してした行為は、無効とする。
  ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
     ※ ただし書が適用されると、当該第三者(相続人がした処分行為の相手方)との
       関係では、当該行為は無効ではなく有効なものとして取り扱われることになる
      (対抗することができなくなるのは
                         利益を保護されるはずだったところの受益相続人(特定財産承継遺言等がされ
       た場合)や受遺者であり、保護される者の反面で不利益をうけることになる)。

3 前二項の規定は、相続人の債権者(相続債権者を含む。)が相続財産についてその権利を行
  使することを妨げない
     ※ 相続債権者(被相続人の債権者)や相続人の債権者が相続財産に対して権利行使
      (例えば差押等)をすると、遺言執行者によって行われる遺言の円滑な執行が妨げ
       られないかどうか、
       ということだが、遺言がない場合は債権者の権利行使により遺産分割協議等の円
       滑な進行に支障が起きたとしてもやむを得ないとされていることからして、遺言
       がある場合について同様の取扱いがされるとしてもやむを得ないと考えられる、
       というようなことの条項です。
       遺言執行者の存在の有無に関しての認識を問うことなく、相続債権者等の権利行
       使が妨げられないことを示しています。

   
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 

2 について

 に対し所有権持分取得を対抗できる

 は、遺言執行者がいて財産の管理処分権が遺言執行者にあり相続人であるにはなかったの
 だということを知らなかった(善意だった)ので、との関係においての行為は有効なもの
 として取り扱われる(1013条2項ただし書き)ので保護され、に対し所有権持分取
 得を対抗することができる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 (遺言の執行の妨害行為の禁止)
  第千十三条 
  遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為を
  する
ことができない。

2 前項の規定に違反してした行為は、無効とする。
  ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

3 について

 に対し所有権持分取得を対抗できない

 が〈善意の第三者〉にあたるとしての無権限が治癒されて処分権限を有していたもの
 と法律上取り扱われることになるのだけれど、X → A    Z〔Xの相続人〕→  
 という二重譲渡と類似の状態が作られているに過ぎないので、に対してその譲渡を
 受けた共有持分の取得を対抗するためには、その旨の登記をよりも先に備えることを要
 する無効ではなく有効なものとして取り扱われることになる、ということと、登記とい
 う対
抗要件
手段を備えているか否かとは、別のこと)

 

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今回の問題は

相続に関しての問題ですが 不動産権利対抗関係という物権理論や登記のことなどの知識

も登場しますし 事例問題というもの 総則・物権・債権・親族・相続のうちの一範囲だけで

解けるというものは まず 無いのでは ? という感があります

                                                           

                                                                      

                    はたけやまとくお の 守備範囲