昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

昭和のマロの考察(52)芸能・スポーツ(1)

2010-10-12 05:55:02 | 昭和のマロの考察
 ドラマはばく然とし広がっている無限の時間と空間を圧縮して形成された小宇宙
 かの<夕鶴>で有名な劇作家・木下順二は言っている。
 
 馬術の理論とぼくの考えるドラマの理論とは合うんですよ。脚で圧すと馬は前へでる。脚でどんどん圧し出し、そのエネルギーを手綱を持ったこぶしで受けて阻止する。馬体の中に圧縮され、たまったエネルギーを利用して馬に舞わせる

 <ドラマ>といえば、久世光彦演出のテレビドラマ向田邦子シリーズの<風立ちぬ>を思い出す。

 理由の分からないまま小林薫演ずる夫に家出されてしまった淋しげな中にもかいがいしく家事に精出す田中裕子演ずる長女。 
 スマートな海軍将校から結婚話が舞い込み、心は引かれながらも結論を先延ばしにする憂いを含んだ宮沢りえ演ずる次女。
 明るい高校生の田端智子演ずる三女。
 そして凛としてしっかりした加藤治子演ずる母親。

 山手の静かな住宅街の一軒家、母を中心に仲のよい3人姉妹という女ばかりの普通の生活が淡々と描かれる。
 しかし、ちょっと騒々しい叔父から失踪した長女の夫の情報がもたらされて、平穏な家庭に波風が立ち始める。

 長女は夫の居場所をつきとめ女と一緒に住んでいることを知る。
 夫は「すべて自分が悪い、離婚してくれ」と言い、家を出たのは長女のせいではないと言うばかりで、本当の理由を明かそうとしない。

 そしてついに母からその理由が明かされる時が来る。
 (木下順二風に言えば、圧縮され、たまったエネルギーが解き放たれる)

 ─続く─


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