昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

三鷹通信(255)五感の哲学 人生を豊かに生き切るために

2018-02-24 05:31:32 | 三鷹通信
 加藤博子「五感の哲学 人生を豊かに生き切るために」
 雪まじりの小雨、寒い日だったが、30人余り思いのほか多くの人が集まった。
 
 加藤博子講師は広島大学から名古屋大学に学び文学博士号を取得、20年間大学院生活をして現在は南山大学、愛知大学、岐阜大学の講師を務める。
 朝日、NHK等々のカルチャーセンター講師の他、最近では大人の家庭教師、つまり知的訪問介護で、お年寄りに知的パワーをそそいでいらっしゃるとか。
 ご本人曰く、<機関銃トーク>でいろいろなエピソードを交えながら軽快に話された。
 「五感の哲学」
 
 ベスト新書から売り出されたこの本を売るために工夫をした。
 書店のポップに、
「これは哲学書の専門書ではありません。ひそかに哲学にひかれているあなたへの私信です」
 ・・・一般向けにも、アカデミズムにも必要な言い訳・・・
 
 顏を知らない人より、知っている人のほうが売れるビジュアル社会だ。
 タレントとか、テレビによく出る作家の本が売れる時代だ。
 加藤博子さんは出版社の意向に背いて、頑としてご自身の顔写真を載せなかったそうだ。
 (実際にお顔を拝見して、哲学を語る紅顔の美少女という趣も残ってらっしゃって、載せるのもありだったかな・・・失礼)

 実際の読者からの反応は、
「哲学なのに読みやすい」「忘れていたことが思い出されました」「付箋がいっぱいです」など好評だったようだ。
 それに数々の大学の入試問題に使われ、愛知県の公立高校の入試問題にも採用されたそうです。
「この本がきっかけで、このような講座に呼んでいただけました」と嬉しそう。

 この不安な世の中、如何に生きるかは問題です。
 宗教に帰依し、神様に頼る人もいますが、自分の頭と身体で世界を感じ取り、考えようとする方のための本です。
 自分の感情を認識し、自省する能力、他者を共感的に理解する能力を育てます。
 
 <EQ(感情指数>という自己の感覚や思考をコントロールすることで、周囲との関係を円滑にする方法があります。
 それとの共通点は・・・感じて考える。その考察から自分の感覚、傾向を客観的に知る。
     違いは・・・周囲の人々への影響を目的としていない。あくまで、まず自分をよく捉え直す。
 *五感を研ぎ澄ますだけでなく、逆に敢えて感覚を閉じてみることで、世の中で起きている出来事の根底を把握し、そこにある問題について考える時間を持つ。
 自分がこの世に居る残りの時間を、ゆっくりと味わい尽くす。

 ・・・80歳を超えたボクを最も納得させた個所です。
 *<自己の内なる自然> 有用性から解放された存在、経済と関わらない活動。
             ・・・退職者、ボランティア、子ども
  何の役にも立つのか分からないことを思わずやってしまう。
  お金にならなくてもやりたい。
  時間をかけることが苦にならない。
  むしろ疲れがとれる。
  <自然>は善悪の彼岸、人間の尺度を超える。

 *癒しではなく未知を求めて
 悔いのない人生、それは楽ちんに過ごすことではない。
 
 ぬるま湯につかっているだけではなく、五感に注意を向けてみよう。
 五感そのものの迷宮へと深く迷い込んで、あなたに心地よい熱い秘湯を見つけてみませんか。
 

 死ぬまで生きる目処が立ちました。
 加藤博子先生、ありがとうございます。
          






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