昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

昭和のマロの考察(119)文明(9)

2011-01-11 05:54:32 | 昭和のマロの考察
 山本夏彦氏に言わすと、だいたい人間は欲張りでしかも悪知恵をも厭わないと言っている。
 文芸春秋2000年3月の群ようこさんとの対談から引用してみる。

馬は生まれたらすぐ足を踏みしめ踏みしめ立ちます。人間は立つまで、口をきくまで何年かかるでしょう。人類は誕生直後にどうして滅びなかったのか、ふしぎですよ。
襲われる可能性はあったでしょうにね。
火を使うようになったら、勝てたのはわかるけど、火を発見する前になぜ滅びなかったんでしょう。・・・だから火をつかうことを覚える前に、どうして滅びなかったのかまだわからないけれども僕は知っている。人間が生き延びたのは悪知恵のおかげなんですよ。
悪知恵?
僕は<日本共産党宣言>の向こうを張って<日本植物党宣言>を起草したことがあるんです・・・。
<日本植物党宣言>にはどういうことをお書きになったんですか。
陰に陽に人間の悪口を書いたんですよ。獣はお腹がいっぱいなら食べることがない。今、お腹がいっぱいなら、目の前にシマウマが通っていようと、何が通っていようと、飛びかかることはないんです。
ええ。
だから、まず蓄えるということがいけないんです。これが人間が生き延びた一つですよ。
人間は貪り蓄えるからいけない。


 ジャン・ジャック・ルソーが言った<人類が柵をつくるようになったときに生まれた文明>への批判なんだ。

そう。それから<諸悪の根源は移動することにあり>。動くからいけない。植物はスクッと立っているでしょう。あれは見上げたもんです。だから、なが年僕は見上げています。
そうでしたか。
イチョウなんて1里ぐらい先に同じく立っているイチョウに、ある風が吹く日、花粉が飛んで受粉して、ちゃんと実がなる。
 だから、人類みたいに醜骸相擁するようなことをしないで済む。


 ─続く─


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