昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

昭和のマロの考察(54)芸能・スポーツ(3)

2010-10-14 06:38:25 | 昭和のマロの考察
 安岡章太郎の<幕が下りてから>を読んだ。
 安岡は田辺聖子が文章の達人として挙げた井伏鱒二、開高健の3人の中の1人だ。
 この小説は、ある挿絵作家の2日間の生活を5百ページに亘って延々と書き連ねたものである。作家の言によれば、家の崩壊に伴う個人の心の痛み、つまり日本人を描いたという。
 短い時間の中で苦悩する主人公の心理状態をこれだけの長文にして、しかも読む者をして飽かすことがない。その筆力は確かに並大抵ではない。毎日出版文化賞を得て、戦後最高の文学的達成の一つと絶賛されている。

 しかし、いかにも暗い。たしかに諸作家、評論家たちの自らの苦悩を深刻に捉えがちな性格に訴えるものがあるのだろう、と皮肉っぽく思いたくもなる。
 もっと読む者をして明るく楽しくなるものが評価されてしかるべきなのでは・・・と。

 昼寝から目覚めてぼんやりテレビを見ていた。
 黒の背広に縞のワイシャツ、派手なピンクのネクタイ、胸には赤いバラ。縁なし眼鏡の白いカバのような顔のでかい超キザな男がしゃべっている。
 
「酔っ払いが人目をひくようにでかい声でしゃべっている。しかしひとりよがりのパフォーマンスは騒音にしかすぎないですよね」
 ・・・うん、たしかに・・・
「聴く人を楽しませる気持ちで演奏することが大事なんです」

 そばにあるピアノに向かって、悲しい曲、楽しい曲、同じ曲でも弾き方、心の込めようで聴き手に違う印象を与えることを、軽々と弾いてみせる。
 
 うん、この男、なかなか楽しい。それにテクニックもなかなかのものだ。
 だらっとしていた体がしゃんとなる。背筋を伸ばして聴き入る。
 斉藤雅広、いっぺんにこの白カバちゃんのファンになった。

 実は,この失礼な記事にもかかわらず、斉藤先生からご丁重なご返事をいただきましたので紹介させていただきます。

 斎藤です。あ・あの・・・白カバならば「ムーミンのパパ」って言って欲しかったです(爆笑)
 ありがとうございました。ここのところ暑いのでダレてしまいそうでしたが、やはり人間インパクトだ!ということを思い出しました。ライブは耳をピクピクさせてがんばります!ぜひぜひ応援にいらしてくださいませ。


 ─続く─


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