昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

なるほど!と思う日々(322)スイスに学べ

2015-01-06 06:11:59 | なるほどと思う日々
「不利な条件が揃ったスイスから見ると、海に囲まれていて購買力も流出せず、侵略もされず、豊かな土壌にも恵まれ、必死にならなくてもぬくぬくと暮らしていける。金持ちで才能にも恵まれたボンボンがボンクラやっているのを見ると腹が立つ」
 スイスのツエルマットで25年以上、カリスマ的な観光業者として活躍されてきた山田敬一郎氏は言う。
 

 確かに、ユーロ加盟国の独仏伊に囲まれて、山岳に囲まれ資源もない小国スイス。
 自らを守るために核シェルターを備え、徴兵制もある。
 スイスフランは独歩高、物価も人件費も世界一だ。
 そんなスイスは時計や製薬などのものづくりで稼ぎ、金融で稼ぎ、何といっても観光で稼ぐ。
 そして過酷な条件を克服して国際競争力世界ランキング(WEF)1位を誇っている。
 

 
 ツエルマットというマッターホルンの国際リゾート地は人口5、700人だが年間約200万宿という宿泊客が訪れる。

 常に人口とほぼ同数の観光客が泊まっている計算だ。
 宿泊客の7割以上がリピーターとうホテルも多い。
 だからといって自然保護地区を削ってまで量的拡大はしない。
 それでも、売り上げも税金も増えているのは、客単価が上がっているのだ。
 つまり、ターゲットは金持ちに長期滞在させるという高級リゾート地として存在している。

 観光だけでなく、時計や医薬品の輸出で稼いでいる。
 日本は795万人のスイスとの貿易赤字が3000億円。
 人口1億4000万人のロシアからの天然ガスなどによる入超、7000億円と比較して如何に多いかが分かる。

 しかも地域に根づいたライフスタイルが売りのポイント。
「将来世代を含めて、自分たちのコミュニティが幸せに生きていくために働く」という目的意識が浸透している。
 ハーバード大学の歴史学者ニーアル・ファーガソン教授が指摘しているが、昨今の西洋型近代社会の衰退の一因は市民社会そのものの衰退にあるという。
 つまり、地域の問題を自分たちで解決してきた米国人ですら、政府に任せようとしている、と。
 スイスには際立った政治的リーダーは存在しない。
 スイスの<ブルガーゲマインデ>といういわば民間事業者の共同体なる組織が機能している。事業をやったりして、ある程度お金を持っている人たちを中心に、地域のために、半分は営利、半分はみんなのために、自治体と相談しながらやっていく。
 住民自らが町としての<公益>を追求する組織。
 (以上、藻谷浩介氏と山田圭一郎氏との対談から)
 
  


最新の画像もっと見る

コメントを投稿