昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

なるほど!と思う日々(302)利己的遺伝子

2014-09-20 04:01:37 | なるほどと思う日々
 イギリスに付くべきか離脱すべきか、スコットランド独立の是非を問う住民投票が行われ、当事国のみならず世界中がハラハラさせられたが、独立反対派の勝利に終わった。
 
 

 さらに欧州ではスペインでカタルーニャ地区独立運動が勃発している。
 
 ロシアのクリミア半島奪取に続くウクライナ問題も決着がついていない。
 

 冷戦の間凍結されていたナショナリズムが解凍されつつあるという見方もあるようだ。
 
 つまり、人間の叡知で理論づけられた理想主義(共産主義的平等主義)によって建設されたされた国家、ソ連と、自由で民主的な国家のシンボル、アメリカとの二大国による冷戦がソ連の崩壊で、歴史に根ざした民族の独立機運が高まってきたというわけだ。

 一方、中東のように宗教的な対立による紛争の絶えない地域もある。
 また、世界から理想の国を求めて集結して出来上がった、民族の存在しない、宗教的な対立も少ないアメリカでも、白人と黒人など、人種間の諍いが絶えない。
 
 共産党の力が強く、今はコントロール出来ているように見える中国も、多民族を抱え、いつそれらの不満が噴出するかわからない状況だ。
 

 今や世界は混とんとした、人間の力ではまとまりの期待できない、どうしようもない状態にある。
 リチャード・デンキンスの<利己的遺伝子仮説>によれば、それは生命の主体が固体にあるのではなく遺伝子の側にあるからだと言う。
 

 つまり、本当に利己的なのは固体ではなく、遺伝子なのだと考える。
 たとえば固体は一見、利己的にも利他的にもふるまうように思えるが、それはすべて遺伝子が利己的であることの表れである。
 親は子に利他的にふるまうと言うが、何のことはない、子にコピーを乗り移らせた親の遺伝子が、コピーを守ろうとして単に利己的にあろうとしているに過ぎないのだ。
 固体は悠久の時間を旅する遺伝子の乗り物<ヴィークル>で、古くなれば打ち捨てられる。 それが固体の死というわけだが、遺伝子には死というものがない。
 遺伝子は何度複製されても、古くならないし、摩耗することもない。(コピーミスはある) 遺伝子のコピーは次々新しい乗り物に移っていく。

 固体の繁栄とはその過程のことである。
 利己的遺伝子の願いはひたすら自分のコピーを増やすことだ。
 ・・・。
 そのほか、利己的な遺伝子に繰られた人間の政治的行動にも理屈づけがされている。

  100年前、寺田寅彦が言った言葉を思い出す。
 「人間の動きを人間の力でとめたりそらしたりするのは天体の運行を勝手にしようとするよりもいっそう難儀なことかもしれない」 
  
 ・・・そのあたりを、ファンタジー<レロレロ姫の警告>で書いてみたいと思っているのだが・・・