昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

なるほど!と思う日々(299)イスラム国

2014-09-08 05:04:50 | なるほどと思う日々
 中東から衝撃の映像が世界に配信された。
 
 アメリカのジャーナリストが処刑されるシーンだ。
 しかも処刑しているのはイギリスから来た若者だという。
 もともとイラクに拠点を置き、アルカイダの流れをくむ組織がシリアの内戦に参加、力をつけイラクに逆流する形で勢力を強め、6月には<イスラム国>の樹立を宣言したISISなるイスラムスンニ派武装集団の兵士だ。
 

 その武装集団はアルカイダの流れをくむとは言いながら、かれらと決定的に異なるのは単にアメリカなどをテロ行為で脅すだけではなく、国家建設を目指していることだ。
 
 
 さらに特徴的なことは戦闘員として海外からも多数若者を集めている。
 その数、50か国から1万人を超えるという。
 
 イスラム教に改宗してまで、彼らの国家建設のための行動に参加している。
 
 

 彼らは<イスラム国>建設に賛同する富豪から援助を受け、さらに人質の身代金で金を集め、油田を略奪して勢力を築く。 
 
 
 
 
 「先進国の欧米の若者が中東へ行って人殺しをしている! 何が彼らをそうさせるのか?」
 
 マルクス主義を信奉した理想主義者サルトルに対立した、リアリスト哲学者フランスのレイモン・アロンの言葉を思い出す。

 世界の先進国で大学紛争が勃発していたころ、彼は言った。
「私は彼らに心から同情している、彼らがあんなに無為な騒ぎを起こさずにはいられない訳は実は私たちの責任なのだ。なぜなら、私たちは彼らから青春が正統な青春として在り得るために不可欠な条件を奪ってしまったんだから。その条件とは第一に若者たちの恐怖と早逝をもたらす戦争。第二はさまざまな願望と夢をはぐくむ貧困。第三は、命がけで戦いぶつかりたくなるような偉大な思想だ。それらはこの現代におおかた姿を消してしまったからね」
 

 なんという逆説的で、しかし現実を表現している言葉よ!
 それが人類の哀しい性だとすれば情けない!