市議会では、一年に一度、町田市の農業委員会の方々の案内で、市内の農業視察をさせていただいている。本日は、3箇所の視察を実施した。市では、昨年度より、市街化調整区域内の農地のあっせん事業を行っている。最初にうかがったのは、あっせん事業によって農地を借りた「まちだ農(みのり)の会」の方々が就農しいている野津田にある調整区域内の農地です。まちだ農(みのり)会の方々は、町田市農業研修の第一期生で、2年の研修を積んだ後、この4月から新規就農を始めたとのこと。研修で、知り合った仲間が中心となって会を結成しています。定年退職後に農業をはじめたメンバーばかりです。「仲間ができて、本当に、よかった」と語っていたことが印象的でした。
まちだ農(みのり)会のメンバー
続いて、野津田町にある体験農園「ななくに農園」ここは、七国山の麓とともいうような場所、大変に風光明媚な景観のよい場所にある。市街化区域内にある「体験農園」は、調整区域内の農地と違い、市街化区域内の農地の貸し借りは、法律上できないことから、地権者である農家の指導のもとに、農業体験をする制度によるものです。市内には、現在8か所あります。ななくに農園は、一区画が4万2千円/年で、55区画となっています。
体験農園「ななくに農園」
最後に、JA町田市育苗センターを視察。町田市育苗センターは、主に、市内農家への野菜苗の供給をおこなっています。大変、質の高い野菜苗ということで、市内農家の信頼も厚いようです。
JA町田市育苗センター
ここ数年、都市農地の価値が見直されている。都市農地が、都市部の緑地を守るなどの環境保全や災害時の避難場所の役割を果たすことをはじめとして、新鮮で安全な農産物の提供、農作業を通じた食育の推進など、多面的な機能が注目されています。また、ここ数年の集中豪雨などに対して、都市部にあっては貴重な保水力となっています。一方で、農地の宅地化などが進み、東京の都市農地は、このまま放置するとなくなる恐れがあるとの指摘がある。町田市内を見渡しても、市街化区域内の農地は、次々と姿を消している。
都市農地、都市農業の保全育成には、都市計画制度における農地に対する見直しが必要とされている。基本的に、現在の制度では、市街化区域内の農地は、いずれは宅地化などの農地転用が行われる前提にあり、地権者にとっては農地としての維持が難しい状況にあるのが大きな理由だ。
都市部における農地や農家の皆さんの営みは、多くの人が、必要との認識を深めていると思う。しかしながら、農地を守る苦労や農業経営の難しさについては、ほとんど理解に乏しい。厳しい納税猶予制度など、ほどんどの市民は知らないのではないでしょうか。それだけに、農地や農業そのものに対する理解を深める取り組みが必用ではないかと思う。