マル鉄・鉄道写真館

鉄道・バス・航空機・はたらくクルマなど、乗り物全般の歴史をご紹介しています。

コトラ90000:木材チップ輸送用貨車

2017-05-06 16:26:00 | 貨車
コトラ90000:木材チップ輸送用貨車


KATOからNゲージでトラ90000形貨車が発売されました。
もう10年くらい前でしょうか、河合商会からも製品化されており、現在もこれを引き継いだポポンデッタで生産が続けられているようです。




無蓋貨車であるト、トム、トラ、トキは、その名のとおり屋根を持たない貨車で、亜鉛塊やコイルの輸送用としてスライド屋根を持つ特殊用途以外は野ざらし或いはカバーを掛けて使用されるのがセオリーです。

無蓋車で輸送される貨物は、石炭、砂利、コークスのようなバラ積みのものと、鉄板のような板状となっているものが大部分で、それらは質量が大きいために、アオリ戸の上に貨物が飛び出すようなものはあまりありませんでした。

しかし、木材チップの輸送に関しては、質量が小さい上に隙間が多く出来るため、1両辺りの容積に余裕があります。このため、籠となる金網によりかさ上げし、輸送量を確保したのがトラ90000でした。

トラ23000を改造した車両とトラ35000を改造した車両が存在し、前者は1段リンク式で65km/h制限を受けるために北海道封じ込めとなり、種車が2段リンク式であった後者は本州を中心に活躍しました。




特殊な用途の貨車でありながらも、高度成長期に紙需要が高まっていたこともあってか、コトラ90000は全国どこにでも走っていたようなイメージがあります。
ただし、本州ではなかなか専用列車を見ることはなかったためか、貨物列車の写真を数多く撮っていた割に、同車が連結されている姿が目立つ写真はこの1枚しか見つかりませんでした。


国鉄時代、貨車乗りだった私も数多くこの車両に添乗したことがあります。
大宮操車場時点でのことですが、単車での使用は見た記憶が無く、大体は4両編成またはそれ以上の両数が連結されて運用されていたと思います。
旧式の無蓋車であったトラ35000や90000は、新しいタイプのトラ70000や大型のトキ25000とは違い、ブレーキ添乗用の手すり位置が低く身長のある者にはぶら下がりづらい。また、手すり自体も細いために手に食い込みます。
無蓋車に長く添乗する場合、アオリ戸の上に手を掛けてしまった方が非常に楽なのですが、トラ90000はアオリ戸の上に金網がカブっているために掴む場所が無く、出来ればあまり乗りたくない貨車でした。

見た目は特殊でカワイく目立つ貨車ですが、こと入換に関しては、苦痛を感じてしまう貨車でした。