家庭の経済格差が子供の教育格差につながってるってよ。そうだろうな、よくわかるよ。高校教員やってた頃からそりゃもう実感してたもの。働くのに精いっぱいで、授業参観とかPTAとかの学校行事に3年間一度も出てこない、なんて親も少なくなかったしさ。今だから言えるけど、部費滞納のまま卒業してった演劇部員も何人かいた。農業高校ってこともあるが、塾とか予備校に通う生徒なんていない。数少ない大学進学希望生徒の受験準備は担任や学年団が当たった。
一方、東大はじめ有名大学の入学者は、経済的にゆとりのある家庭の子供たちが多い、これもすでに常識だ。学歴がもの言う社会、ってこともあるが、自身高等教育を受けた親は、教育が子供たちの人生に大切だって知ってるからな。だから、投資も惜しまない。金かけるってことだけじゃないぜ。本を読む習慣とか文化芸術に接する機会とかも、意識するしないにかかわらず恵まれてる。
この傾向、いかんよなぁ。あたら可能性のある子供たちが、磨かれぬままで押し出されていく。当人は努力したくても、その意欲を削ぐ、あるいはそんな上昇志向を萎えさせる現実が広がってるってことだ。社会に出れば、親同様、低所得、あるいは貧困家庭を作ることになる。今じゃ結婚だってままならない。
これって、自己責任って知らんぷりしていいのか?貧乏、あんたの勝手でしょ、で済ませていいのか?子供たちを育てるのは社会の役割じゃないのか?教育の機会均等、これって、社会の共通認識だったはずだぜ。だれだって、そりゃヤバイでしょ、社会的にも人材の損失だし、って思うはずだ。
ところがさ、この親の格差が子に報い、ってありようを、当然!?って肯定する人が確実に増えてるってことなんだぜ。そう、親の貧困も子供が背負っていくべき自己責任だって、見なす人たちだ。
日本人が「教育格差すら許容している」衝撃事実
<https://toyokeizai.net/articles/-/375805?page=2>
って文章にその衝撃の事実が詳しく書かれている。
自己責任社会、ますます拡大!いよいよ健在!って、憂鬱になるよな。
しかも教育格差は仕方ないと言い放つ人たち、多くは経済的に恵まれた層の人たちだってことなんだ。まっ、ある意味、分かるよな。要するに勝ち組は現状を肯定する、弱者、出遅れ者には冷たいってことだぜ。
だがなぁ、そうもさばさばと切り捨ててたもんだろうか?以前の恵まれた人たちって。親世代はともかく、若い連中は、そんな親たちの自己保身的生き方に反発を覚えて行動したもんじゃないのか?社会正義への欲求とか、平等へのたぎる思いとか、差別への嫌悪とか、それらが社会変革の一つの力になってきたんだじゃないかねぇ。若い、とか青いとか蔑まれながらも、やみくもに行動してきた気がするんだぜ。残念ながら、空回りに終わることが多かったとしてもさ。
なのに、どうしちゃったって言うの?親の貧乏、どこまでも背負ってけ!って気楽に思える若者が多数になりつつあるって。
見えなくなっちまってるんだろうな、自分の階層以外の暮らしが。学ばなくなってるんだろうな、これまでの歴史的な歩みを。すり減ってるんだろうな、共感の感性が!
こういう鈍くて、視野の狭い、己の利害にとらわれる人たちが、この先、この国をリードしていく!どうだい?これって明らかにこの国の衰退じゃないかい?