ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

イネの架け替え

2020-10-05 13:52:00 | 米つくり

 そりゃ天日干しの方が美味しいさ。刈り取った後、3週間近くも恵の日差しをいただいて、ゆっくりじっくり乾き、熟成していくんだもの。きっと栄養価だって違うと思うぜ。あっ、フツウ売られてるお米は、こんな手間暇かけてないかね。ただし、金と油はたっぷり掛けてな。

 実るそばから刈って脱穀、すぐにトラック積み込んでライスセンターへ持ち込む。ここで、一気に過熱乾燥する。今年みたいに雨がちだと、湿ったもみ殻が入って来る。かなり重油使ってんじゃないか。乾いてから刈ればいいのに、ってそうはいかないんだな。順番決まってて、次々乾燥機に放り込む。ちょっとの湿り気なんて気にしちゃいられないのさ。一気に籾摺りもやって、出荷。早いものじゃ、刈ってから4,5日で市場に出たりするんじゃないか。慌ただしいことだぜ。

 その点、天日乾燥はのんびりうららか!自然のリズムだよ。秋のお日様たっぷり吸い込んでじっくり乾いて行くんだから。バインダーって機械で刈り取って束ねる。ここいらじゃ、それを田んぼに立てた杭に掛けて乾燥させる。1本の杭に48束ってのが、お定まりだ。晴天続きなら1週間、穂を日に当てる。今度は束の上下をひっくり返して掛け直す。日陰だった穂を上側に出して満遍なく穂を乾燥させていく。ここれでもまた順調なら1週間。米だけが目的なら、これで十分、脱穀すりゃいいんだが、農家にとっちゃ稲わらも大切な副産物だ。敷き藁に使ったり、畜産農家にもっていってもらって、堆肥と交換する。だから、藁もしっかり乾かす。穂を中に入れ、藁茎を表に出すように掛け直しさらに1週間。なっ、手間暇かかってんだろ。だから、美味いのさ。だから、高いのさ。

 先週、2回目の架け替えを終わらせた。実りが豊かなコシヒカリ、うーん、束、重いぜ。乾燥具合も順調で言うことなし。こういうイネだと、作業も心地よく進むんだよ。これが、イモチたっぷりすっかすかのヒトメボレだと、もう、束持つたんび、ため息出ちまうよ。乾きの方もいまいちで、それも癪にさわる。一緒に刈った雑草も多く、それにもさらに腹が立つ。育て方失敗しやがって、責任取れ!って責められ続けてるみたい。わかった、わかった。来年は、堆肥も減らし加減にするし、鋤きこむ時期も早くして分解腐熟を促すから。それにしもて、この軽い束ばかり、どうやって種取ったらいいんだか。なんて、イネと一緒に悩みつつ作業を終えた。

 あと1度架け替えて、そこからさらに1週間。脱穀は10月半ば過ぎだな。新米を口にするにはさらに籾摺りが必要だ。まっ、遅れたとしても10月末には新米出荷!と行けそうだぜ。と、言ってもそれは親戚縁者への話しだ。家族が新米、口にするのは先の先。まず、残っている2019年産が底ついたらってこと。まず、年内は無理だろうな。いいとこ先取りなんて、しやしない。まず残り物の整理から。こういうもんなんだぜ、農家てのは。

 

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