まずまず苗はできたし、畑の段取りも万全に済ませて、素早く移植。そして紗幕でトンネル!どうだ、これで蝶々ども入り込めまい。よしよし、これでキャベツ30個、ブロッコリー、カリフラワー各10個、ゲットだぜぇ。
堆肥もたっぷり入れたし、秋作だしな、雑草もそれほどひどくないから、このまま収穫まで直進だ。と、豊かな気分で見回りしていたら、おいおい、苗、倒されてるよ。こっちで1本、あちらで1本。ヨトウムシだ、なんだって選りも選って、トンネル栽培の土にいるんだよ。ジャガイモの後作、とりたてて荒らしたわけじゃないし、ジャガイモの残渣もほぼ畑から出した。なのに、これかよ!
翌日、さらに数本がやられた。ヨトウムシってやつは、本当に癪に障る。だってな、株元の幹にかじって苗を倒すだけなんだから。葉っぱを食べたり、茎を食い荒らしたりって、生きるための必死さってものがない。もう、完全に嫌がらせだろ、これ。まだ青虫の方がかわいい。夢中で葉を齧って、その栄養で育って行くわけだから。
普段土の中に潜伏し、夜になると這い出して攻撃をかける。そう、夜襲だ。だから夜盗虫!どこに潜んでいるのかも皆目わからぬ。神さんのような執念深いヨトウムシハンターが土をほじくり続けぬ限り、絶対に見つかることはない。不精者の俺ごときに敵う相手ではさらさらない。
憎っくきヨトウムシどもの被害はさらに広がり、結局移植した苗の半分近くが食いつかれて倒れ伏した。その有様が下の写真だ。わざわざ合間を開けて植え付けたなんてことじゃ全然ない。不自然に広がる何もない空間は、ヨトウムシに席巻された名残りなのだ。
おそらく、収穫は移植した本数の半分以下になるだろう。悔しいと言えば悔しい。憎いと言えば憎い。だがな、半分以下と言えどもキャベツで10個以上、ブロッコリーとカリフラワー合わせればこれまた10個程度はとれるってことだ。親戚、知人にお裾分けしたとしても、一人で食べる分には十分だ。
ヨトウムシの奴も、作り手のこと考えて、残してくれたんだ。奴らなりの仁義ってもんだ。そう思えば、立った腹もおさまって来る。まっ、そういうもんなんだよ、有機農業ってものは。環境を制圧して一網打尽、そんな野蛮な功利主義からおさらばしたところにあるものなんだから。虫たちも生き、人間も生きる。そう、共生ってことだ。半分残してくれたこと、ありがとう、とは言えぬが、まっ、こんなもんだろうぜと納得しよう。
とは言え、半分持ってくってのはやりすぎだぜぇぇ!