知人から、腰痛めたか?って言われた。なんだ、腰曲げて!おっと、やっぱりそうなってたかい。こりゃいかん。痛くはない、ただ、張ってるだけだ。腰の筋肉が鉄板のように固まっている。そのせいでついつい前かがみになっちまう。
一つは、トレーニングのせいだ。ランニングで腰を使って正しく走ろうと心がけると、ついつい背筋を突っ張る姿勢になる。それを7キロも10キロも続けると、腰部分の背筋が酷使される。これが張りにつながる。
だが、一番の理由は農作業や薪割りなんだなぁ。薪作りじゃ、特にチェーンソー作業が腰に来る。重く長い薪材だ、地べたに積み上げられたままの状態でチェーンソーをあてる。当然、腰を折った中途半端な姿勢で切り続けることになる。じっと我慢で玉切りが終われば、今度はそれを抱えてキャリーに積み込まにゃならん。1/6に切ったとは言え、けっこう重い。この重量物を持ち上げるという体の動きが、腰と背筋にゃ大いに負担だ。この腰酷使の作業を不定期ながら4か月も続けてきた。こりゃぁ、腰に来る。
農作業、こいつも中腰とか屈んでといった作業がやたら多い。最近で言うなら、野菜の種蒔き、ネギの土寄せ、除草に間引き、畑作業はどれもこれも中途半端に腰を曲げた作業なんだよ。農家の婆ちゃんたち、腰曲がってる理由もこれ。一方、ジイサンの方は、シャキッ。男は機械作業が中心で野菜畑なんかにゃ足踏み入れんからな。農家の嫁は辛かったのさ。で、ぼっち農家の我が家としちゃ、婆さんたちの仲間入り、ってことなんだな。
稲刈りを来週に控えて、やっておかにゃならん仕事が幾つかある。畔の草刈り、あっ、これは草刈り機で機械作業だが、微妙に腰に負担がかかる。だが、一番の難物は、埋め込んだ畔波シートを掘り上げる作業だ。これが辛いし、嫌な仕事なんだよ。田んぼの草がきれいになってりゃ、端を持ち上げてずずずっと引っ張り上げられるのだが、そんな、そんな、畔の近くまで手が回るわけないだろ。当然、シートを覆うようにして草が繁茂している。だから、まず、草刈り鎌で、畔波シートに沿って草を刈ることから始めにゃならん。数メートル刈って、シートにかぶさる草たちを切り裂いたら、その部分のシートを引き抜いて行く。無理して引っ張ると、ぺきっと割れてしまうから、そっとシートのご機嫌を取りつつの作業となる。
屈んで草を刈り、中腰で引っ張り上げる。この繰り返し。1枚20メートルほど。これが大きな田だと8枚ほど。掘り出したシートは畔に長ぁく伸ばして端から巻いていく。これも、屈んだり、中腰になったりのつらい仕事。
できれば、二人でやっつけたいと、神さんの居る時を狙っていたんだが、あいにくと雨やら外出やらで引きづり込めず、仕方ねぇなぁ、一人でやるっきゃねえな。
風がないのが何よりだ。吹かれっと、掘り上げたシートが暗雲只中の竜のようにのたうち回って、手に負えないんだ。日差しも柔らかく注いで、どうやら、お天道様は、ジイサンの一人作業を憐れんでくれたようだ。腰は辛いが、我慢が大切。シート外さぬことにゃ田がぬかるんで、稲刈作業が難儀する。泥土の深みにはまったバインダーをみんなで引っ張るなんて重労働はしたくない。このところ雨が多いから、その危険性大いにありだ。ここは一つも二つも踏ん張りどころだ。
午前中目いっぱい頑張って、一番大きな田、ヒトメボレの田の畔波シートを片づけた。もう、20年近く使い続けてるから、そこら中で割れたり亀裂が入ったりしている。途中で割れて2枚に分かれてしまったのもあった。このまま行くと、来年は新しいものに更新か?とも思ったが、もしかして、ハウスビニールの修理用パッチテープでつなげるんじゃないか?試しに何か所か修理してみたら、これが意外と上手く行きそう。来年埋め込んでみなけりゃ判らんが、これで済むなら、他にもたくさんある割れて短くなったシートも再生可能だ。こりゃいいぜ。よしよし、辛い仕事にも遣り甲斐が見つかった。幸せ気分で本日作業終了。残る田んぼはまたの気力充実の折に、って言っても数日中には済ませにゃいかんのだがね。