ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

居直りにゃんこ避妊、いや去勢手術、その後

2016-03-05 09:26:31 | 暮らし

 手術を終えて連れ帰ったにゃんこ、麻酔の所為で体温が冷えるって言う話しだし、今夜ばかりは、屋内で静養させてやらなくちゃならなんなぁ。ストーブの前の一等地に段ボールの特製ベッドを設えて横たえてみたが、早くも不満。まだ麻痺の残る下半身をもたもたと動かして箱から這い出してしまう。

 おい、どこがいいんだ?お気に入りの寝床はどこだ?慣れない部屋の中をあちらへふらり、こちらへよろりと心も体も覚束ない。煉瓦で作ったストーブの防火壁の後ろに無理矢理入り込んで、身動きならずじっとしていたり、食器棚の下に潜り込み、これまた狭い隙間に身体を押し込み自ら拘引状態。テレビ台の下、あるいは裏も気に入った様子、でも、どこも、安住の場所としては不満のようで、しばらくすると這い出してきて、またもや部屋中を徘徊。おい、こっちは原稿の締め切りが迫ってんだ、頼むから温和しくしていてくれよ、と声をかけたら、足下にすり寄って来る。別に呼んだわけじゃないから。おまえに癒される必要ないから。

 今度は僕の足で、爪を控えた爪研ぎ?これがこいつの愛情表現!よしよし、わかった。痛みはないのか?切ないよなぁ、生半可人間世界に入り込んでしまったお陰で、オスとしての威厳の一部を失っちまったわけだものな。悪いなぁ、許せ。などと、こちらが弱気になれば、そこは猫の巧みな本性、椅子の後ろに飛び乗って、隙あらば膝の上に、さもなくばテーブルの上を占領したいと虎視眈々。ここは絶対、許してならじと、きつく戒めた。

 さて、心配なのが、おしっこ、大便。このにゃんこはその点とても几帳面で、自分専用の自家用便所を確保しているらしく、週刊文春にもその現場を突き止められていない。と、なれば、今夜だってその秘密の場所にこだわるはずだから、それらしい素振りが見えるたびに、部屋の戸を開け、玄関を開けて送り出すが、催しているのかいないのかしばし佇んでは入って来る。

 そうか、出ないか、それじゃ、また暖かいところで休んでまた後でな、と声をかけて部屋に請じ入れるも、冷たい土間に居座ったまま。うん?調子が悪いのか?このまま体温低下して生命シャットダウンになるんじゃないか?不安になって無理矢理ストーブ前に連れ込む。入り込めば、また、もやうろうろと彷徨いあるき、ストーブ下やら椅子の上やら、どうにも落ち着かない。もう、気になって気になって、台本書けんじゃないか!って怒ってみても、糠に釘、猫に小判、こちらの思惑など屁とも思わずオレ流を貫いている。

 これよ、これだから、猫と同居はできないんだ。あっちもオレ流、僕も僕流、上手く行きっこない。今夜の暖かナイトを経験して、ここ、おいらのテリトリーなんて勘違いされたら困る。ほんと、困る。が、まぁ、今夜だけは、仕方ない。この部屋で寝てくれ。ただ、部屋の戸と玄関は隙間を空けておくからな、ストーブにも薪を多目にぶちこんでおくからな、好きなように行動しろ、と言い置いて、その夜は就寝した。

 翌日、夜中は冷えたし、いくら気まま猫と言えども、ストーブ前で丸くなっているだろう、と思ってみたが、いない!おいおい、死んじゃった!なんてないよな?土間に降りてよくよく見れば、隣の部屋の入り口でちょこなんとお座りしておった。おお、生命力の偉大さよ!立派に一晩耐えきったな。それじゃ、薬入りのエサの方は、どこで食べる、お前の住み処、小屋の方が落ち着くか?部屋の中はだめなんだからな、と言いつつエサ入り容器を持って出たら、さっさと小屋に走れ込み、欲しい欲しいエサエサと待っている。さすが、間借り猫!居直り猫!分をわきまえている。実に見上げた心がけだ!

 一度家に入れたら、入れろ入れろと鳴き騒ぎ、ついには戸をひっかき開けてでも入ってくる、それが猫ってもんだ、それが世間の常識、僕の体験知識でもあった。しかし、こいつは違う。エサを食っても、さっぱり小屋を出ようとせず、慣れ親しんだ寝床へと戻っていく。実に独立独歩、己が人生は自分のもの、誰にも邪魔なんかさせるものか、との気概に富んでいる。食い物と住み処を依存している分だけ甘え、後は自分の暮らしを守っていく。こんな猫もいるんだなぁ。人間もいろいろだけど、猫もほんと!いろいろだ。よしっ、この調子でゆる~い繋がりでお互い生きていこうじゃないか。

コメント
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