ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

初演出は一人芝居:50(歳)を過ぎたら板(舞台)地獄⑮

2008-01-03 12:22:27 | 演劇

 菜の花座の旗揚げ公演が成功して、まず、一安心!うーん、でも何か物足りない?一人4役もやったし、わからぬままに舞台監督も務めた。でも、違うなぁ、僕がやりたかったことと。

 そう!そうなんだよ!演出がしたかったんだよ、それも自分で書いた作品でね。旗揚げ公演は、実績もあり、団員の評価の高いSさんが演出するのは当然だと思った。でも、僕だって、結構やるじゃないのってところを、自分にも他のみんなにも示したかった。

 ちょうどいいタイミング、フレンドリープラザが、『一人芝居7分間劇場』って企画を立ち上げてたんだ。ロビーが舞台。費用はプラザ持ち。誰でもいい、内容は問わない。7分間の制限時間でパフォーマンスしてご覧よって内容だ。思い切った試みだよ。あの頃のプラザは、新しいことやってやろう、地元の才能掘り出してやろうって意欲が充ち満ちてたね。

 これこれ、これいただき!とさっそく飛びついた。菜の花座の若手3人誘って、一人芝居をやることにした。そう、3人がそれぞれ7分程度の一人芝居を演ずることにしたんだ。台本は、僕が書いた。テーマは別れ。三人三様の別れを、出演者の個性を見ながら、でもなかったか?ともかく書いた。

 第一話は『おけしょう』。そう、言うまでもない井上ひさしさんの名作『化粧』のパクリだね。女性が化粧しながらだんだんと別人のように美しくなっていく、あの魔法の瞬間に、心惹かれてたんだ。化粧しながら、見かけも別人になり、個性も別人格を獲得していく、ってお話しだ。その頃急激に広まっていたチャットの世界なんか借りて書いてみた。

 第二話は『おしゃべり』。これは会社用とプライベートの二つの携帯電話を使いこなすOLのお話し。憧れのエリート社員からの電話と元彼との電話が同時にかかってきて、どちらも切るに切れないまま、あっちを持ったり、こっちを持ったりしているうちに、とうとう携帯を間違えて、憧れの男性を口汚く怒鳴り飛ばしてしまう、という落ちだ。この設定は、実は永井愛さんの『ら抜きの殺意』にもあるんだけど、僕の作品の方が早いので、一言名誉のために。もっとも、永井さんはさすがで、電話が三つになってんだけどね。

 第三話は『おりょうり』。これはかなりおっかない話しだ。女が部屋で料理を作っている。どうやら、奥に彼がいるみたいで、しきりと話しをするんだけど、その話しが何故か、不遇に終わった元彼たちとの話しばかり。彼女と付き合う男は、みんな不慮の死を遂げてるって話しなんだ。自分の暗い運命に突き動かされる女。話しながら、料理をしながら、だんだんと正気を失っていく女。ついに、握りしめた包丁を一突き。・・・血塗られた男のジャケットを抱きしめながら女が静かに優しく踊るラスト・・・・。どう?これ、かなりでしょ。僕は好きなんだよね。

 さて、この3作品を若い女性3人と創った。厳冬の吹雪の中、集まって稽古を重ねた。僕としては、なかなか良い出来だと思ったけど、観客の評価はそれほどでもなかった。何が足りなかったのか?わからない。

 今でも、この作品は悪くないと思っている。だから、一昨年のプラザ演劇祭では、この3作品を書き改め、さらに2作品『おわらい』と『おひとよし』を加えて、5人5本の一人芝居の舞台にしてかけた。こちらはまずまずの評価をもらった。

 でも、出演したのはすべて別の女たち。最初の3人、誰一人として、もう菜の花座にはいない。

コメント
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