中村京蔵さんの「滝の白糸」で国立劇場に立たせていただいたのは、2020年11月。もう3年近く前のことになる。
夏の終わりからこの道を下って稽古場に通っていた。
そして、日曜日はその当時からやりたいとおっしゃっていたラシーヌの「フェードル」の千穐楽。
国立劇場が建て替えになるので、大千穐楽といってもいい。
素晴らしい舞台だった。
ラシーヌの登場人物は、とにかく詩の朗読をしているようなもので、
韻を踏んだ言葉を語り続ける。
歌舞伎の館の装置がそれにふさわしく、最後の大仕掛けは歌舞伎なのに
状況劇場を思わずにはいられず。
もちろん最初の幕の切り落としは蜷川幸雄を思い出したのだけど。
とにかく女優も出ている舞台なのに、久しぶりに歌舞伎をみた、
歌舞伎の真髄に触れたような気持ちになった。
劇場で3年前の京蔵さんとの出会いをつくってくれた大学の同級生に再会。
実は連れ合いとも40年以上の旧知で。
三人で飲み屋に繰り出したのは言うまでもない。
帰宅してから連れ合いと二人で先日の坂本龍一の対談を見直す。
素晴らしい舞台に触れた余韻、それは全て舞台人としての自らに返ってくる。
脳がぐんぐんと動き出していく。