泡 盛 日 記

演劇人(役者・演出家)丹下一の日記です。

久しぶりの「きんび」へ

2022-06-08 19:13:46 | 丹下一の泡盛日記
水曜日、午前中の歯医者で虫歯が見つかる。
この歯医者には、父に連れられて来た。
以後、定期的にチェック。
不具合が見つかったのは初めてだけど、なんか父に感謝。

この街に来るのは本当に久しぶり。
冬の冷え込んだ朝、このビルの9階から日光の男体山が見えたこともある。
いや、このビルに来たのではなく、(これは駅ビルでもある)
ゲルハルト・リヒター展を見にきたのだ。
モーターボートの絵とか、いくつかの作品は知っていたけど、
本格的に触れるのは、初めて。
「鏡」やグレーの作品がとても勉強になった。
同時に開催されている収蔵作品の展覧も観る。
こちらの方は、お陰様で「再会」を認識する作品がたくさん。
面白いもので、「あれ、これ鹿児島の城山描いたやつでは?」なんて覚えていたりする。
中学生の頃から、この「きんび」=東京国立近代美術館に何度来たことか。
元々、美術が好きだった。
子供の頃、博物館や美術館に連れ出してくれた父が、ゴッホの画集を買ってきてくれたのがきっかけで。
見るだけでなく、描いてもいた。
あまりに下手で、悲しくなるほどなんだけど、そういう脳の作りらしい。
今でも美しい光景や、役者の表情などに触れると
写真ではなく、ペンか鉛筆でサクッと描けたらいいなあ、と思う。
ちゃんと絵が描ける人が、本当に羨ましい。
そして、リヒターのグレーのペインティングには、
自分なりの突破口があれば、いいのだと、励まされている気持ちにもなった。

パフォーマンス仲間が、仕事でヌードモデルをやっていて、
10年以上前だけど、その仲間たちが企画した面白い公演の現場に立ち合わせてもらったことがある。
それは、演劇的なパフォーマンスとしてのデッサン会で、
彼女が前説のようなスピーチをして「では始めます」と言った次の瞬間、
するりと全裸になったのは、ちょっとだけ、どきっとしたのだけど、
実は、初めて見たわけでもないし、その場で本当に自然なこととしての始まりになった。
もちろん本人にとっては、いつもの仕事、だし。
その後、旧知の同業者の女性も全裸になる場面があり、
(これはさすがにドキドキした)
一緒にモデルになる男性を舞台から募集していた。
誰も手を上げないな、と思いつつ鉛筆を削っていたら彼女が舞台から降りてきて
「待ってるから」とだけ言って戻っていった。
次の瞬間、自分でも不思議だったのだけど、
最初の彼女のようにするりと全てを脱いで舞台に上がっていた。
舞台の上で(当然全裸で)二人で肩を寄せ合って座っていた。
後で彼女から「あなたの心臓がものすごくドキドキ打っているのが、体から伝わってきて。大丈夫よ! ってエネルギー送ってたの」と。
ちなみに公演後、参加したモデルガールズだけの打上げご飯会があり、
「彼とあなたが全裸で寄り添っているのは本当に自然で、初めてとは思えない。
カップルなんじゃないの? 白状しなさいよ!」
と大騒ぎだったそうだ。
もちろん誓って何もありません。
良い酒の肴になって、よかったです。

神保町の本屋で、以前から欲しかったハムレット関係の本も入手。
良い休日になった。
明日からは、本番、後、飲み会、の日々が続く。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする