今日は、都内の座・高円寺までSENDAI座☆プロジェクトの「十二人の怒れる男」を見に出かける。
この芝居は、もう随分前に俳優座で上演されたのを見に行った記憶がある。
台本の素晴らしさに感動した。
その後、映画も見た。
狭い部屋の夕立の蒸し暑さがこちらにまでやってきてたまらんのだった。
このSENDAI座☆プロジェクトの舞台は実に素晴らしかった。
エアコンが効いた劇場で始まりから既に蒸し暑さまで感じるような。
まるで観客も一緒に狭い空間に閉じ込められて、この議論に立ち会わされているような圧迫感。
嫌みな登場人物を役者たちがきちんと演じきっているので、目の前の男に向かって反論したくなるような不快感。
もちろん自分はストーリーを知っているので、そろそろあの話題になるんじゃなかったっけ? などと見ている。
それでも気持ちを強く揺さぶられた。
それは、大声を上げて威圧することや、明白な人種差別、人命を預かることの責任を感じていない人。
論理に対してへりくつや暴言で場をごちゃごちゃにしてしまう、そんな存在がこの頃ますます身近に感じられるからだろうか。
もっとも「アメリカは少数の意見が尊重される国と聞いてやってきた」という移民の台詞にも、苦笑いした。
もちろん誰にだってそれなりの「理由」はある。
舞台上では、丁寧に時間が積み上げられ、薄皮をはがしていくように現場の透明感が増していく。
13人の俳優全員の素晴らしい作業の積み重ねだ。
そして、それを見つめる演出家のまなざしの不動の覚悟。
最初はじっくり、じとっと始まった時間が、いつの間にか気がつくと2時間が経っている。
序破急ってこういうことだよな。
旧知の渡部ギュウは本当に素晴らしかった。
多分、あの役だろうと思っていた役だったけど、彼らしい熱い演技が最後の切なさに至るまでの大きなうねりは本物だ。
せいちゃんこと、西塔亜利夫の舞台は久しぶりに観た。
つばを飛ばさない彼を見たのは初めてだったけど♪、さすがの素敵な存在感。
先日、仙台で飲み屋でご一緒した藤原貢さんと松崎太郎の誠実な存在感もいい。
(松崎)太郎ちゃんは、ちょこっとしか出てこないのが勿体ないくらいのいい役者なんだが。
彼が守衛で登場できるくらい12人の男たちのチームはレンジが広く層が厚い。
終演後、ギュウに「素晴らしかった!」と伝えたら「ま、4年も稽古してますんで♪」と笑っていた。
今回で3演目だそうだけど、これからも再演を重ねていってほしいと思う。