Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

餓死なんて知らないよ

2007年08月24日 | 日々、徒然に
ジャーナリストのMさんと世間話をする。
Mさんは資料やインタビューをもとに、
餓死していくアフリカの子供たちについての
原稿を書いたところ、編集部のデスクから
「実際に目の当たりにしたこともないくせに」と批判されたという。

そのデスクは実際にアフリカに行き、
飢餓で死んでいく子供たちを
間近で見てきた人らしい。

Mさんはアフリカに行ったことはない。
餓死する子供たちを目の当たりにしたこともない。
だからと言って、目撃者でないからと言って
批判されていいものだろうか。

こうした深刻なテーマについて原稿を書く場合、
当事者でないことの負い目は絶対に、ある。
それでも書かなければならない衝動に駆られ、
人々に訴えたくなることだってあるだろうに。

僕もイラクに行った戦場カメラマンの取材をしたことがある。
そしてそのカメラマンから
いかにイラクの状況が悲惨かということを聞き、原稿を書く。

そのときに感じる負い目。
戦場に行った人から聞く二次情報をまとめて、
それでギャラをいただくわけだ。

でもそれだってライターの役割のひとつだと思う。
伝えなければならないことがあるから、書くわけだし。
戦場カメラマンの言葉を精一杯聞き、反芻し、
自分の言葉に置き換えながらインタビュー記事を書く。
そういう仕事の意味と意義はある。

それを否定されると、当事者とか目撃者でなければ
原稿を書く資格がなくなってしまう。
それはあまりに不条理だ。

Mさん。あなたのやっていることは正しい。
そう思いますよ。絶対に。
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