あたしってずるいんです

原節子さん…。

 

享年95。いつか来るだろうと思っていたけれど、

こうして訃報を聞くと言葉が出ないというか。

63年に女優を引退してから、すでに50年以上経つということは、

女優でない人生の方が長かったわけで、

そのいわゆる「普通の人生」がどんなものだったのかは想像するしかない。

でも、きっと幸せな後半生だったと信じたい。

 

主演女優としてのオーラはもちろん、

演技力も素晴らしかったのだけど、

役になりきるというか、

その映画の中に溶け込むことのできた女優さんだったと思う。

監督にとっては、自分の色に染めることができたわけだし、

その要望をしっかり受けとめる聡明さを持ち、

体現するための努力を怠らない人だったのでは、と。

 

河内山宗俊

ハワイ・マレー沖海戦

麦秋

晩春

東京物語

東京暮色

秋日和

小早川家の秋

わが青春に悔いなし

白痴

めし

山の音

驟雨

娘・妻・母

安城家の舞踏会

お嬢さん乾杯

愛情の決算

女であること

 

と、思いつくままに出演作を並べてみても、

名作揃いというか、日本映画の歴史そのままというか。