「もう6年もやってないじゃない」
そう言われたのは、自宅近くにあるかかりつけの病院で、
かなりのご老体と思われる先生からだった。
胃の調子が上向かず、
ここらが潮時だろうと病院に行ったのが運の尽き。
13年前に胃で大病をしたわけだから、
老先生、毎年検査(胃カメラ)をしてるものだと思ったらしい。
「じゃあやっておこうね、久し振りだし」
とカルテを見ながら、先生が曖昧な笑顔を向けた。
久し振りだろうと何だろうとやりたくないんですけど、
とは到底言えず、予約を入れる。
会計で呼ばれるまで沢木耕太郎の本を読む。
夏になると、なぜかこの人の書いたものが読みたくなる。
アジアを旅する沢木青年の心の動きをなぞりながら、
行きてえなあ、アジア。その前に胃、だけど。
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