Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

やるせなさとせつなさと

2012年06月14日 | 読んでいろいろ思うところが
中村淳彦『職業としてのAV女優』(幻冬舎新書)を読む。
AV女優やその業界については、永沢光雄や東良美季、
本橋信宏といった人たちのすぐれたノンフィクションがあり、
どれもすごく面白いのだけど、本書はAV女優という存在を
社会的な側面から照らしつつ、
その実態を詳細に記録した希有な書だと思う。



本書によると、AV女優は意外と儲からないらしい。
AVアイドルとしてブレイクするのは、ほんの一握りで、
多くのAV女優はその労働力に比しても、
普通のOLと大差がない、というかリスクを考えると割に合わなさそう。
しかも、業界は右肩下がりで、
メーカーもプロダクションも、とにかくハイスペックな女性を
スカウトすることに躍起になっているという。

なので、借金などで追い込まれて
仕方なくAV女優になるという女性は今や少数派で、
そもそも容姿や社会性、コミュニケーション能力などが
シビアに問われるので、なりたくてもなれないのが現状らしい。

常にリスクが伴い、しかも本当に若い年代しか
仕事ができないAV女優だけど、
それでもなりたがる女性は増えているらしい。
不況のせいもあるだろうし、
形はどうあれ、映像作品の主役を張るわけで、
自分が周りから認められるという「承認欲求」が満たされることを
望む女性もいるということだ。

なんともまあ、やるせなさが漂う読後感。
女性を「消費する商品」として見てきた
この国のある一面なのかな、という気が。





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