Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

サイコパス礼賛

2024年03月24日 | 映画など
金子修介監督「ゴールド・ボーイ」を見る。
あまりの評判の良さにあおられて
ふだん行かないTOHOシネマズなんかで見ちまいました。
ううむ。面白い。お見事。
金子監督、さすがです。惚れ直しました。
まったく情報無しで見るのがいちばんだけど、
ネタバレにならない範囲で本作の凄さを書いてみようかと。


これは沖縄の映画だ。
冒頭とラストに、米軍の戦闘機が
キーンと音を立てて画面の奥を通り過ぎるシーン。
沖縄の歴史や置かれている状況、
たとえば基地とか貧困とか格差などが
ことさらに描かれるわけではない。
だが、この地でなければ
起こらなかったであろう大事件が、
フィクションとは言え、かなりの説得力を持って
迫ってくるといったら大袈裟だろうか。

サイコパスな殺人鬼を演じる岡田将生が
出色の存在感で、表情をまったく変えることなく
コトを進めていく姿に魅せられる。いい俳優だなあと。
この男とからむ中学生が3人。
中心となる少年を演じる羽村仁成は、
「リボルバー・リリー」で
綾瀬はるかと共演したあの少年だ。ジャニーズなんだな。
彼が見せる、岡田将生との丁々発止ともいえる
セリフの応酬が本作のいちばんの見ものと
言ってもいいかもしれない。

そして羽村仁成と危険なことに手を染める
星乃あんな演じる少女も素晴らしい。
誰が悪人で善人かわからない展開のなか、
唯一、映画に可憐な風を吹かせてくれて
ヒロインとしての役割をまっとうする。
っていうか、彼女に向かって
本当に風が吹く場面があり、鳥肌が立つ。
そのあたりはいかにも金子監督の真骨頂だなあと。

最後の最後に、
羽村仁成の母親を演じる黒木華にたまげる。
この人、こんな芝居ができるんだ、すげえ、と。
本作のおいしいところを、
全部持っていってしまうほどの怪演で、
影のヒロインはこの黒木さんだと言っても過言ではない。

元は中国の連続ドラマらしいが、面白い原作と
現代の日本に換骨奪胎した脚本。
しっかりした舞台設定とロケーション。
俳優の存在感と演技、そして台詞。

どうだ、面白いだろう、
と金子監督のドヤ顔が目に浮かぶ。
いや、ほんと。平成ガメラ3部作はもとより、
「宇能鴻一郎の濡れて打つ」「みんなあげちゃう」
「香港パラダイス」「どっちにするの」
「1999年の夏休み」「毎日が夏休み」など、
多くの傑作をものにしてきた金子監督、
面白いものを見せてくれて、ありがとうございます。

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