Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

幻惑されて

2022年01月02日 | 映画など
エドガー・ライト監督
「ラストナイト・イン・ソーホー」を見る。
おお。確かにこれは傑作だなあ。
青春モノとホラー、60年代趣味と
ミュージカルがまぜこぜになって
見る者を幻惑する118分。


もし自分が10代で高校生とかだったら、
きっと「エドガー・ライトやべえ」とか言いながら
興奮していたに違いない。かつて、デ・パルマや
ジョン・カーペンターの映画に夢中になっていたときの
気持ちがよみがえってきたというか。

特に鏡を使った演出。
主人公の美学生エロイーズがいつのまにか
1960年代のロンドンにタイムスリップし、
鏡のこちら側と向こう側を行き交い、
ダンサー志望の女の子サンディとシンクロしていくところの
流れるような語り口に魅せられる。

後半は次第にホラー風味になっていき、
ヒッチコック「サイコ」やロメロのゾンビシリーズへの
オマージュがふんだんに盛り込まれつつ、
60年代ロンドンのヒット曲に加え、
当時のアイコン的な存在としての
テレンス・スタンプのキャスティングなど、
監督の趣味が全開のようだけど、マニアックなネタを
知らなくても充分楽しめる。

主人公のエロイーズがあれだけ憧れた
60年代のロンドンが実は、女性たちにとって
搾取と抑圧の時代でもあったことが示唆され、
そこをホラーとして描いたところに新しさがあると思う。

エロイーズを演じたトーマシン・マッケンジー。
どこかで見たと思ったら
そうか「ジョジョ・ラビット」のユダヤ人の女の子か、と。
最近見た「パワー・オブ・ザ・ドッグ」にも出ていて、
若手のスターとしてどんどん伸びていくのだろう。
そして、サンディ役のアニャ・テイラー=ジョイ。
彼女の歌とダンスにも幻惑されました。
このふたりの存在感があるからこそ、
本作は傑作としての輝きが増している。

コメント (2)
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