Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

世界の終わりと些末なあれこれ

2020年09月25日 | 映画など
クリストファー・ノーラン監督
「TENET/テネット」を見る。
物語の整合性とか、SF的考証とか言ってると、
この映画についていけなくなるのは明らかだろう。
映画の冒頭に出てくる「考えるな、感じろ」という
ブルース・リー的な台詞に従い、
スクリーンに映し出され、
流れていくものを見るしかない。
そもそも映画というものは、そういうものではなかったのか、と。


時空を行ったり来たりする力を
身につけた工作員が、
同じ力を持つ武器商人の陰謀を阻止する、
ということさえわかればいい。

あとは、時間が進んだり逆行したり、
同じ人物が同じ空間に入り交じったりするなか、
生きるか死ぬかの銃撃戦やカーチェイスが繰り広げられる。
それを大きなスクリーンでじゅうぶん堪能する。
考えるのは見終わってから、だ。

ジョン・デビッド・ワシントン演じる、
主人公の工作員には名前がない。
この青年は何者なのか。特殊な能力があるがゆえの孤独。
戦いを強いられる理由は何なのか。

黒幕である武器商人は絵に描いたような悪人だ。
というか、こんな大作の敵役にふさわしくない小物ぶりを
ケネス・ブラナーが上手に演じていたと思う。
その武器商人に虐待を受けている妻。
演じるエリザベス・デビッキの美しさ。
この夫婦がやけに人間くさくて、
アイデンティティーの無い主人公とは好対照。
主人公とその妻は、決して結ばれることはないんだろうな
という諦念が漂ったりする。

めまぐるしい展開のなか、浮かび上がってくるのは、
なんともいえないやるせなさというか。
絶望感と言っていいかもしれない。

見た映画館ではデジタル上映だったけど、
質感はあきらかにフィルムで、ノーラン監督のこだわりが見てとれる。
再見するとしたら、IMAXじゃなくていいから、
フィルム上映で見たいな、と。

コメント (4)
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