Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

愛しさと艶めかしさと

2019年04月20日 | 映画など

田中絹代監督「乳房よ永遠なれ」を見る。

乳がんに冒された実在の女流歌人がモデル。

いわゆる難病モノだけれど、

女としての生と性が生々しく、

かつ艶めかしく映し出されていることに、

そして、これが64年前に撮られた映画であることに、

ただひたすら驚き、見入ってしまう。

 

 

貞淑な妻であり、優しい母であったふみ子(月丘夢路)が、

夫との不仲のため離婚。シングルマザーとなった矢先に乳がんが発覚し、

手術で乳房を切除、女としてのアイデンティティを失いつつも、

彼女を慕う新聞記者の大月(葉山良二)とつかの間の愛を交わす。

死期が近づけば近づくほど、女としての喜びを得ようとするふみ子。

演じる月丘夢路の艶めかしさといったら、ない。

 

監督の田中絹代は言わずと知れた

日本を代表する大女優だけど、

こんな緊迫した官能的な映画が撮れるなんて。

50年代の日本映画はまさに全盛期で、

スタッフキャストに恵まれていたとはいえ、

映画監督としても並々ならぬ力量があることを再認識。

 

絹代監督は「恋文」「月は上りぬ」といったほのぼのとして

温かみのあるライトコメディもたいへん素晴らしかったけど、

本作の凄みにひたすら圧倒される。

監督した映画は全6本。

他のもきっと面白いんですよね、シネフィルの皆さん?

コメント
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